海外情勢

インドネシア金融に買収の波 フィンテック大手、地元銀取り込む

 インドネシアでフィンテック大手による地元銀行の買収が加速している。銀行口座保有率が低く、国民に十分な金融サービスが行き届いていない同国において、既存の銀行との提携を通じた新たなデジタル金融サービスを提供し、市場開拓に布石を打つ狙いがある。

 8300万人開拓の余地

 シンガポールのインターネット企業シーは1月、インドネシアのクスジャテラアン・エコノミ銀行(BKE)を買収。配車サービスを手掛けるインドネシアのゴジェックも昨年12月、同社のフィンテック投資として過去最大の約1億6000万ドル(約168億円)を投じ、ジャゴ銀行への出資比率を引き上げた。

 同国は東南アジア最大のフィンテック市場である一方、ネット専業銀行に銀行免許を認めていない。英国、香港、シンガポールはネット専業銀に免許を許可しており、タイやフィリピンも前向きに検討している。一方、インドネシアでネット銀に参入するには銀行を買収するしか手段がない。インドネシア金融サービス庁(OJK)は新たな免許を付与する代わりに、1600を超える商業・地方銀との提携を推進している。

 OJKのウィンボ・サントソ長官は「フィンテック企業はこれまで通り既存の銀行と組むべきだ。銀行は出資、経営、商品開発などで企業との提携は禁じられていない」と語った。

 インドネシアは世界で最も銀行口座保有率が低い国の一つで、人口の約3分の1に当たる8300万人以上が正式な金融サービスを受けられていない。一方、ネット普及率は高く、ネット人口は1億7500万人超と東南アジア最多を誇り、その大半がオンラインバンキングを利用している。こうした状況はフィンテックにとって商機であり、今後も買収ブームは続く見通しだ。

 既存銀アクセス苦戦

 インドネシアの銀行が多数の島々に散らばる人口に接するのに苦戦するなか、スマートフォンを介したデジタル金融サービスは金融アクセス拡大への解決策を提供している。米グーグル、シンガポールのテマセク・ホールディングス、および、ベイン・アンド・カンパニーがまとめたリポートによると、東南アジアのデジタル金融サービスの年間総収入は約110億ドル。オンライン取引へのシフトも追い風となり、同市場はさらなる成長余地があると予想している。

 欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスのアソシエート・ディレクターを務めるタンマ・フェブリアン氏は「いわゆる“ネオバンク”は若年層や低所得層などの金融サービスから取り残されていながらも、利益率の高いセグメントを取り込むのに優位な立場にある」と指摘。ゴジェックなどのフィンテックは電子商取引(EC)や決済サービス部門のデータを活用することで、担保や信用実績がないために銀行に敬遠されがちな借り手を査定することができるとしている。

 インドネシアの小規模銀行にとっては、フィンテックとの提携は2022年までに資本金を3兆ルピア(約225億円)以上に引き上げるOJK令の達成にも役立つ。また、デジタル化が加速する市場での競争力の向上にもつながる。(ブルームバーグ Claire Jiao、Grace Sihombi)

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