海外情勢

ダイヤ業界がコロナ下で活況 “競合の旅行”と対照、ネット通販伸びる

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続く中、世界のダイヤモンド業界が活況を呈している。

 “ダイヤ業界の牽引(けんいん)車”と呼ばれるインドの都市、スーラトの工場は生産能力の増強に全力を挙げている。5割増しの賃金や家賃や食費が無料といった好条件を提示し、熟練したカット職人や研磨師の引き抜きを行っている。

 一方、ダイヤ生産世界最大手の英デビアスは値上げをしたばかりだが、過去3年で最大規模の原石の販売会を計画している。ロシアの同業アルロサは1月、ダイヤ需要の回復が当面は続くとの見通しを示した。主要市場である米国や中国を中心に、ホリデーシーズン(年末年始期間)の宝飾品の販売が好調だったことが回復を牽引した。

 消費マネー流れ込む

 ここ数年、ダイヤはぜいたく品分野の消費市場で旅行業界との間で激しい競争に直面していたが、ロックダウン(都市封鎖)などの移動制限で旅行の見合わせを余儀なくされるなか、消費者は可処分所得をインターネット通販に充てるようになった。

 アルロサの販売責任者、エブゲニー・エイギュレーブ氏は「人々は遠隔勤務だけでなく、ダイヤなどをネットで購入することも覚えた。以前は旅行や高級なレストランでの食事にお金が費やされていたが、その予算の一部が今はダイヤの購入に充てられている」と話した。同社のネット販売は昨年の2倍近くに増加し、売り上げ全体の約20%を占めているという。

 ダイヤ市場に膨大なマネーが流れ込んでいる。宝飾品小売りの米シグネット・ジュエラーズの報告によると、同社のホリデーシーズンの売上高は業界最大の北米市場で前年同期比7.8%増加。ネット販売の拡大が主導した。業界第2位の市場である中国でも同様で、同国の宝飾品販売最大手、周大福の昨年9~12月期の売上高は同18%増となった。

 世界の90%のダイヤが加工されているインドは昨年12月、約20億ドル(約2110億円)ものダイヤ原石を輸入。カット職人や研磨師が需要増に対応し、在庫補充を急いだ。

 在庫水準にジレンマ

 しかし、激しい浮き沈みを繰り返してきたダイヤ市場の回復が定着するかどうか、見極めはついていない。業界関係者の間には市場が過熱しており、今年後半には失速しかねないと危惧する声もある。

 デビアスは今年初めの販売で約5%の値上げを実施したが、顧客はまだ購入を続けている。関係者によると、同社は約6億ドルと、過去3年間で最大規模の原石の販売会を準備中だ。

 ただ、年初の販売会は中間業者が一斉に在庫補充に動くため、例年なら一年で最も売り上げが伸びる時期だ。今後販売が減速した場合、値下げ圧力がかかる可能性がある。

 デビアスとアルロサの在庫が数十億ドル規模まで積み上がっている状況も、足元の回復が一過性で終わるリスクに拍車をかけている。両社はこれまでのところ、在庫を一掃したい誘惑にあらがっている。

 コンサルティング会社ジェムダックスのパートナー、アニッシュ・アガルワル氏は「両社にはジレンマがある。売らない場合は在庫を収益化できない一方、売りすぎると市場が飽和してしまうリスクがある。適切な方法で販売できれば、価格への支持が得られるだろう」と指摘した。(ブルームバーグ Thomas Biesheuvel、Yuliya Fedorinova)

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