海外情勢

インド経済統計「不備」「遅い」、手作業を脱却へ AIで悪評返上狙う

 インド統計局は、より正確な経済動向の把握を目指し、人手に頼っていたデータの収集、分析、発表で人工知能(AI)の利用率を高める計画だ。同国の経済データには「不備がある」「発表が遅い」「突如大幅に改定され混乱が生じる」など散々な評判があった。

 統計局のクシャトラパティ・シバージー事務次官はインタビューで「大量のデータの高速かつ正確な処理の必要性が高まっている。社会と当局双方のデジタル化が進んでおり、AIによる自動化で、データの質と信頼性、速度は、向上が期待される」と語った。

 雇用発表まで1年

 インドでは、経済データの質をめぐって多くの問題が生じており、迅速な改善が求められている。インターネットを利用できる人口が約13億人の国民のうち約20%にすぎず、データ処理を手作業に依存している。このため新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)期間中には実地調査は中断を余儀なくされ、小売物価の発表ができない月もあった。

 インドは、中国から企業を誘致し国内製造部門の構築を狙うものの、国内総生産(GDP)統計を3週間以内に発表する中国に対しインドは2カ月後と、統計発表の速やかさで中国に後れを取っている。

 これ以上に深刻なのは、毎月約100万人が労働市場に参入する中で、発表が1年遅れとなっている雇用統計だ。経済統計が、政策目標に合わせて操作されるとされる中国でさえ、雇用統計は毎月発表している。

 こうした問題が指摘される政府データに代わり、インドについて分析を行うエコノミストらは、ムンバイを拠点とする民間シンクタンク、インド経済監視センター(CMIE)の月次統計を利用。同社の独自調査に基づくデータは既に事実上の雇用統計として利用されるようになっている。また、アナリストの多くは経済動向の把握に独自ツールを使っている。

 人員不足を穴埋め

 経済データをめぐる課題が山積する中、統計局が直面する人員不足も深刻だ。連邦と各州の統計担当官のポスト、7363件のうち2013件が空席だ。シバージー氏は「人員の不足は、AIが重点的に活用されるようになり解消するだろう。局員の仕事の効率は、自動化と技術を集約したアプリケーションで大幅に上昇している。これにより時間短縮が可能な業務全てに利用を広げている」と語る。

 世界銀行は「情報通信技術の進歩と社会の急速なデジタル化がインドの統計制度に新たな改良の余地を生み出した。新型コロナ感染拡大とロックダウンで従来のデータ収集法に支障を来したことで、近代化の必要性が浮き彫りになった」と指摘する。(ブルームバーグ Vrishti Beniwal)

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