海外情勢

仮想通貨市場 最大脅威はデジタル人民元、中国規制強化なら動揺

 上げ下げを繰り返しながらも値上がりを続ける仮想通貨ビットコインにとって最大の脅威は、中国が世界に先駆け導入しようとしている法定通貨のデジタル版だ。

 テザー全面禁止か

 主に機関投資家向けに仮想通貨のマーケットメーク(値付け)を手掛けるB2C2ジャパンのフィリップ・ギレスピー最高経営責任者(CEO)は10日までにインタビューに応じ、中国当局がデジタル人民元の導入と同時に規制を強化すれば、仮想通貨市場が動揺する可能性があると指摘する。

 ゴールドマン・サックスで通貨担当だった同氏は「いったんデジタル人民元が導入されれば、仮想通貨にとって最大級のリスクになるだろう。新たなルールがデジタル通貨の取引プラットフォームから流動性を吸い込むことになれば、パニック売りもあり得る」と述べた。

 各国・地域の中銀には仮想通貨を発行するとともに、ライバルの仮想通貨を禁止し得る力があり、これは仮想通貨セクターにとって大きなリスクの一つだ。中国では既に人民元を仮想通貨に換えることは禁止されているが、ドルを裏付けとする「ステーブルコイン」だとしているテザーへの投資は非公式に続けられている。

 B2C2ジャパンによると、中国はテザーを全面的に禁止する可能性があり、テザーを利用し続けようと考えている誰にとってもリスクが高まり得る。

 デジタル人民元に関する中国人民銀行(中央銀行)法改正草案には、個人や企業による仮想通貨の導入・発行を禁じる条項が盛り込まれている。中国の内モンゴル自治区は最近、電力を大量消費する仮想通貨マイニング(採掘)を禁止した。

 大きな流動性到来

 人民銀は主要中銀として世界で初めてデジタル通貨を発行する公算が大きい。導入時期は固まっていないが、人民銀は既に数年にわたり自国通貨のデジタル化に取り組んでいる。

 テザー側は中央銀行デジタル通貨(CBDC)がステーブルコインの終わりを意味することはないと主張している。

 テザーと関連交換業者のビットフィネックスのパオロ・アードイノ最高技術責任者(CTO)は「テザーの成功はCBDCがどのように機能し得るかについての青写真を示した。イーサリアムやビットコインのようなパブリックなブロックチェーン(分散型デジタル台帳)でCBDCが入手できる可能性は低く、最後の1マイルが民間発行のステーブルコインに残されることになるだろう」と語った。

 ただギレスピー氏はテザーについて、「ビットコイン購入の大きな燃料」であり、混乱があり得る可能性についてはほとんど認識されていないと説明。中国の需要を取り込んでいる仮想通貨交換業者から「途方もなく大きな流動性」が来ていると話した。(ブルームバーグ Joanna Ossinger)

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