海外情勢

路線拡大・新規就航した航空会社が「超格安」攻めの運賃 事業縮小の競合に先手

 新型コロナウイルス危機のさなかに思い切って路線を拡大したり新たに就航したりする航空会社が「超格安運賃」を提供している。破格な運賃で客を引き付けて売り上げを伸ばし、事業を縮小した競合他社に先んじる狙いだ。

 経費節減が後押し

 世界中の航空会社は昨年、乗客数低迷への対処で1日当たり10億ドル(約1088億円)の経費削減を実施した。それにより航空券の価格引き下げ余地が生まれた。さらに不要な機体が安く利用できるようになったことも、航空会社の経費節減要因になっている。業界では多数の乗務員が一時解雇(レイオフ)された一方で、新サービスの展開に向けて積極的に採用を進める航空会社もある。

 昨年7~9月期に米国の平均的な運賃は需要の急減で過去最低に落ち込み、米運輸省の1月の発表では前年同期比で30%下がった。

 フライト追跡アプリ「フライトアウェア」のデータによれば、約42万5000人の雇用が失われ、商業航空交通は依然として、パンデミック(世界的大流行)以前の水準を45%下回る。感染力の高い新型コロナウイルスの変異種の拡大は早急な回復へのこれまでの期待を打ち砕いた。

 だが超格安運賃は、移動規制や長期にわたる隔離を理由に搭乗を渋ってきた顧客を呼び戻し、航空市場復活に寄与する可能性がある。航空旅行が前例のない落ち込みとなり、2024年以前にはコロナ禍前の水準に戻らないと見込まれる。半面、ワクチン接種の広がりで見通しは明るさを増している。

 格安航空会社(LCC)を傘下に擁するラスベガスに拠点を置く米レジャー旅行会社アレジアント・トラベルは、創業以来2番目の規模となる航空網拡大に着手した。オースティンやサンディエゴ、インディアナポリス、アルバニーなどの都市からの直行便を新たに36便追加。収入担当のシニアバイスプレジデント、ドリュー・ウェルズ氏は「素晴らしいアウトドア体験の入り口となる都市への旅行は累積需要が多い。新路線は片道わずか39ドルだ」と話す。

 ダラスに拠点を置く米サウスウエスト航空は13年以来で最大の航空網拡大を進めている。ビーチやマウンテンリゾートなど休暇向け目的地となる17空港でサービスを開始、もしくは計画している。また、ビジネス客をさらに獲得するために、ヒューストン、シカゴ、マイアミの主要空港で初めて増便した。

 米LCCのジェットブルー創業者、デービッド・ニールマン氏が設立したブリーズ・アビエーション・グループは2月に米規制当局から暫定運航許可を取得しており、年内の営業開始を目指す。アレジアントのアンドルー・レビ共同創業者が設立したアベロ航空は21年上半期のサービス開始を計画している。

 夏季には累積需要

 世界で最も混雑する路線の一つ、オーストラリアのシドニー・メルボルン間でカンタス航空、ヴァージン・オーストラリア航空に挑むのは、国外では知名度の低いリージョナル・エクスプレス・ホールディングス(レックス)だ。アジア有数のプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社PAGの出資を受け、レックスはビジネスクラス8席を設けたB737型機のリース機で先週、フルサービスのフライトを就航。チケットは片道79豪ドル(約6600円)からで、1日最大9往復を運航するという。新サービス運営に向けパイロット80人を含む400人を追加採用する計画だ。

 各社ウェブサイトによると6月10日時点の同路線の価格は、ヴァージンがレックスに匹敵する価格を、カンタスは109豪ドルから提供している。

 カナダの超格安航空会社フレア航空は北半球の夏季に友人や家族に会いに行く累積需要で国内旅行の回復が喚起されると見込む。機体数を増やし、運航路線網をほぼ倍増している。運賃は39加ドル(約3350円)から提供する。同社のステファン・ジョーンズ社長は先月、「手ごろな価格の国内航空旅行が旅行と観光再開の第一歩になる」と話していた。(ブルームバーグ Angus Whitley)

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