海外情勢

インテル新工場2兆円 半導体受託生産参入、主導的地位取り戻す

 米インテルは23日、新たな工場の建設で大規模な投資を行い、他社向けに半導体を製造するファウンドリー(受託生産)事業に乗り出す計画を明らかにした。半導体製造で主導的地位を取り戻すことを目指している。発表を受け、同日のインテルの株価は一時約5%上昇した。

 TSMCと直接競争

 2月に就任したゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が発表した計画では、同氏直轄の部署「インテル・ファウンドリー・サービシズ(IFS)」を新設し、「半導体製造に対する世界的なとてつもない需要に応えるために、欧米にファウンドリー生産拠点を置く主要供給元になる」ことを目指す。これは半導体ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)との直接競争につながる積極的な動きだ。

 インテルはファウンドリー事業参入のため、まず200億ドル(約2兆1700億円)を投じて米アリゾナ州に2つの新工場を建設する。設備投資額は昨年の140億ドルから拡大する。このほか米欧などでもさらなる工場の新設を計画しており、年内に発表する予定。同社の工場は現在、アイルランド、イスラエル、中国にある。

 同CEOの計画は、インテルおよび米国がハイテク主導権を再び握ることを望む人々への掛け声だ。中国は自国の半導体産業発展のために数千億ドルを投資しており、米政府に対し、国内生産への支援を新たに求める声が挙がっている。

 もっとも、一部のアナリストはインテルがTSMCにすぐに追い付けるのか、あるいは、果たして追い付くことが可能なのかと疑問視している。追撃には巨額の投資が必要で、TSMCは21年の設備投資額が280億ドル相当と、インテルの昨年の投資額の2倍を投じる予定だ。

 従来戦略が崩れ始め

 インテルは最先端の自社工場で製品を設計することで、4000億ドル規模の半導体業界で数十年にわたり支配的な地位を維持してきた。だが他のメーカーの大半がファウンドリー業者を活用する中、インテルは新しい製造技術の目標期限を達成できないなど、従来の戦略がここ数年で崩れ始めた。

 ゲルシンガー氏の前任者は、自社生産を完全にやめることを検討し、一部の投資家はインテルが生産の外部委託でコストを削減するよう期待していた。新たな計画はいずれのアプローチも否定し、多年にわたり多額のコストをかけてインテルの製造の伝統に改めてコミットする内容となった。

 インテルは回路線幅10ナノ(ナノは10億分の1)メートルの製造プロセスで目標期限を達成できなかったことに続き、昨年は最新の7ナノ技術でも遅れが生じるなど問題が顕在化している。

 ゲルシンガー氏は23日のインタビューで、「当社のような企業にとって10ナノ、7ナノでのつまずきは屈辱だったが、それは解決済みだ。問題が何か理解している」と述べた。

 同氏によると、インテルは最重要製品の部材を含め、一部の自社ニーズを満たすためにTSMCのファウンドリーを利用する。ただ、自社製品の大半を社内で生産し続けるとした。

 インテルは以前、ファウンドリー事業への参入を試みたが、製造工程が主に高性能コンピューター向けマイクロプロセッサ用の自社チップの設計にとらわれ過ぎていたため、失敗に終わった。

 ゲルシンガー氏は「過去の試みはいささか中途半端だった」と認めた上で、インテルはIFSに「本格的な」生産能力と最先端のチップ技術の提供を約束していると強調した。(ブルームバーグ Ian King)

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