海外情勢

ベトナムの新興ビンファストが米でEV生産を検討、来年“最速”投入

 ベトナムの電気自動車(EV)新興企業ビンファストが米国でのEV生産を検討している。トレーディング・サービス部門のタイ・タイン・ハイ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。同社は2022年までに米カリフォルニア州でのEV販売開始を目指しており、米国での工場建設で量産体制を整える考えだ。17年設立の同社が計画を実現すれば、トヨタ自動車や韓国の現代自動車などアジアの大手自動車メーカーでさえ成し遂げられなかった速さでの快挙となる。

 専用モデル開発へ

 ハイCEOは「ビンファストはスマートなEVの世界企業になることを目指しており、米国市場は注力する最初の国際市場の一つだ。当社はまず、米国向けのハイエンドモデルを開発する」と説明。米国事業への投資総額は明らかにしなかったものの、「事業開始から5年後の黒字化を目指す」と話した。

 ビンファストは年内にカリフォルニア州にショールームやサービスセンター35カ所をオープンし、22年中に米国でEVを販売する計画。同年中にカナダ、欧州への市場参入も目指している。

 ベトナムの億万長者ファム・ニャット・ブオン氏が設立したビンファストは19年、同国内でドイツのBMWからライセンス供与されたエンジンを搭載したガソリン車の納入を開始した。親会社のビン・グループの会長でもあるブオン氏は同年、20億ドル(約2200億円)の個人資産を活用して米国事業を支援する考えを示していた。

 ただ、北米の自動車市場参入への道のりは決して平坦(へいたん)ではない。フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)といった米国の老舗メーカーがEVに数十億ドルを投じているほか、投資家たちがEV新興企業を合併により上場させる特別買収目的会社(SPAC)に数十億ドルもの資金を投入しているためだ。

 米国のEVメーカーの多くはまだ商品を販売していないものの、上場手段としてSPACを活用している。SPAC経由の上場ではニコラが初めて注目を集め、ルシッド・モーターズ、ローズタウン・モーターズ、フィスカー、カヌー、XosなどのEV新興企業がこれに続いた。

 自動運転でも布石

 ビンファストが米国進出に積極的な姿勢を見せた背景にはカリフォルニア州のニューサム知事が昨年9月に発表した「35年までにガソリン車の新車販売を段階的に中止する」との州知事命令がある。ハイCEOは同命令が「早期の市場参入や米国市場への投資拡大を後押しする」とみている。

 ビンファストは現在、サンフランシスコに50人規模の研究開発(R&D)センターを保有しており、22年に発売する米国EV向けの自動運転機能のR&Dに取り組んでいる。同社は今年、自動運転車の公道走行試験の許可をカリフォルニア州の規制当局から獲得していた。

 ビンファストの昨年の自動車販売台数は約3万台で、今年は4万5000台以上の販売を見込んでいる。ハイ氏は「ビンファストは高い安全基準と先進技術を備えた最高品質の自動車を提供することで、ベトナム企業から自動車を購入することに抵抗のある米国など海外の顧客を獲得できる」と胸を張った。(ブルームバーグ Nguyen Kieu Giang)

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