海外情勢

米、温室効果ガス半減へ 気候変動サミットに合わせ

 バイデン米大統領は同国の温室効果ガス排出量を2030年までに05年比で少なくとも半減させることを目指す。22、23日の気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)前に新たな削減目標を公表する予定だ。政権当局者が今週、支持者に伝えたもので、説明を受けた関係者らが明らかにした。

 パリ協定復帰を明示

 バイデン大統領は経済の主要セクターの変革を推し進め、気候変動対策で世界のリーダーとなるべく、新たな目標を示す方針だ。オバマ政権は25年までに温室効果ガス排出量の05年比26~28%減を公約していた。30年までに05年比50%減の目標は、そのほぼ2倍に相当する。ただ関係者の1人は、バイデン政権としては具体的な数値目標の提示は避けたい考えだと語った。

 バイデン大統領はオンライン形式で主催する気候変動サミットに世界40カ国・地域の首脳を招待している。意欲的な削減目標を表明する背景には、米国のパリ協定復帰をアピールし、サミット参加国に一段の排出量削減を促す考えがある。

 サミットの目的は、主要経済国・地域が炭素削減に向けた取り組みを強化し、産業革命前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5度までに抑える目標を達成することだ。即座に成果が得られないかもしれないが、11月に英スコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に先立ち、取り組みを勢いづける意味はある。

 今回の米政府の公約は一部の環境保護論者から称賛を受けた。彼らは米国が長年、世界有数の二酸化炭素(CO2)排出国であることを考えると、大幅に排出量を削減する必要があると訴えている。

 マーキィー上院議員(民主、マサチューセッツ)は「30年までの50%削減は技術的に実現可能で、手の届く範囲だ」と述べ、バイデン政権にはさらに途上国への一段の援助を提供し、温室効果の高いメタンガスを中心とした排出量削減の公約を明確に打ち出すよう求めていると語った。

 「極端で有害な公約」

 一方、上院エネルギー・天然資源委員会のバラッソ上院議員(共和、ワイオミング州)はバイデン政権の公約について「極端で有害だ」と断じる。共和党幹部の同議員は「米経済が望まないことはエネルギー価格の上昇と雇用の減少だが、まさにそうなろうとしている。大統領の計画は勤労者世帯の光熱費を上げるものだ」と批判した。

 調査グループのクリアビュー・エネルギー・パートナーは顧客向けリポートで、排出量を50%削減するには電力部門にとどまらず、米経済全体で広範な変化が必要だと指摘。「電力部門が大幅に排出量を減らしても他部門が旧態依然のままなら、50%の削減目標を達成するには実質的に軽量の輸送手段を自転車にシフトする必要があるかもしれない」と説明した。

 バイデン政権の目標は、米国以上に野心的な目標を掲げ、気候変動と戦うという米国の決意に懐疑的な他国・地域からの批判に直面する可能性がある。

 大統領の公約は、30年までに1990年比55%減を目標とする欧州連合(EU)ほど野心的ではなく、2035年までに1990年比78%の削減達成を目指す英国の目標も下回る。2005年比50%減という米国の目標は、比較基準年を同じ1990年にした場合、同年比40%の削減にとどまる。(ブルームバーグ Ari Natter、Jennifer A.Dlouhy)

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