国内

10万円給付金、7割貯蓄に 低所得者層は消費多く

 新型コロナウイルス対応で政府が昨年支給した1人10万円の特別定額給付金について、少なくとも7割が貯蓄に回ったとする分析を日豪の研究チームがまとめた。低所得者層はそれ以外の層に比べて消費に回す額が多かったことも判明した。家計簿アプリ「マネーフォワード ME」の利用者23万人分のデータを事前の同意を得て調べた。

 2020年3~11月のデータを活用して給付金の消費への影響を調べると、振り込み時点で最も使われ「その後も5週間程度にわたって消費水準の上昇が確認できた」(マネーフォワードの兼田充氏)という。

 決済履歴から確実に消費に回ったと判断できる分は1人当たり約6000円。現金自動預払機からの引き出し分を含めると約1万6000円、他人の口座への振り込みなども合わせると約2万7000円が使われた計算となった。残る7万円超は貯蓄に回ったとみられる。

 所得別に4つの階層に分けると、手取り年収が235万円以下と最も少ない層が、他の層よりも消費の増加幅が大きいことも分かった。調査に携わった早稲田大の久保田荘准教授は「5割程度多かった」と指摘した。

 政府が約12兆8000億円を投じて国民全員に配った給付金は「消費を促す効果が限定的だった」とする指摘が多かったが、実際の数字で立証した形だ。研究メンバーの一員でオーストラリア・クイーンズランド大の田中聡史氏は、こうした実証調査の意義について「財政や社会保障といった政策立案にも生かせる」と語った。

 特別定額給付金 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が昨年4月に決定した緊急経済対策の柱の一つ。家計支援を目的として国民に1人10万円の現金を配った。総事業費は12兆8803億円。5月から配布が本格化し、9月にはほぼ終了した。2008年のリーマン・ショック後にも「定額給付金」として1人当たり1万2000円(65歳以上と18歳以下は8000円上乗せ)の現金を給付したことがある。

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