海外情勢

EU、中国念頭に防衛策 外国国有企業の域内買収阻止へ新規則草案

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、外国の国有企業による域内企業の買収を阻止する、もしくは制裁金を科すための権限を得ようとしている。経済的な脅威を増す中国を明らかに意識した動きだ。

 保護主義傾斜を助長

 ブルームバーグが入手した新規則の草案は、中国に直接言及していないものの、域内企業には対抗できない規模で国家支援を中国企業が受けているとの不満に応えようとする措置だ。

 この計画に対して、中国の企業団体は既に不満を表明している。文書は草案段階で、来週見込まれる正式提案を前に変更される可能性も依然ある。最終的にまとまるには、EU加盟各国の支持を得なくてはならない。

 欧州委はコメントの要請に今のところ応じていない。

 欧州が約100年ぶりの急速な景気後退に陥る中、こうした動きは域内で強まりつつある保護主義への傾斜を助長するものだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でサプライチェーン(供給網)が途絶し、域内経済の脆弱(ぜいじゃく)性が顕在化したのを受け、加盟国政府は供給網の「域内回帰」について協議している。一方、フランスとドイツは米国や中国と伍(ご)して戦える規模の「欧州を代表する企業」設立を認めるべきだと主張している。

 新規則の草案によると、欧州で5億ユーロ(約660億円)以上の売上高があり、直近の3年間に5000万ユーロを超える支援を外国政府から受けた企業は、M&A(企業の合併・買収)に際してEUの承認が必要になる。

 「不当な優位」に制裁

 さらに欧州委は、無制限の政府保証や信用枠など外国の補助金で欧州企業の競争力を弱めるような不当な恩恵を企業が受けていると判明した場合、年間売上高の最大10%に上る制裁金を科す権限も得たい考えだ。草案では、そうした補助金で不当に優位に立つ企業に対しては、締結済みの政府契約を無効にすることもあり得ると警告した。

 また、EU当局者らはこの草案で、企業の許可を得て、該当する国や地域の環境を理解した上で、域外のオフィスを検査する権限を獲得しようとしている。

 補助金をめぐる企業の懸念を和らげ得る方法として規制当局は、ライバル企業がインフラにアクセスすることを認めることや公正な条件でのライセンス供与、研究内容の公表などを提案している。

 草案文書では、欧州委が得る権限によって、企業が生産能力や市場での存在感を低下させることや資産を売却したり、投資を抑制することもできるとしている。(ブルームバーグ Aoife White、Natalia Drozdiak)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus