海外情勢

インドの富豪アダニ氏が国内EC市場参戦 物流倉庫、ウォルマート傘下と提携

 インドの富豪ゴータム・アダニ氏が成長著しい国内の電子商取引(EC)市場に参入する。同氏率いるコングロマリット(複合企業)アダニ・グループの物流会社アダニ・ロジスティクスは4月12日、米ウォルマート傘下で印EC大手のフリップカート・オンライン・サービシズと物流倉庫とデータセンターで提携することを明らかにした。両社が共同声明を発表した。

 ◆三つどもえの様相

 ウォルマートはアダニ・グループと組んで同国EC市場の熾烈(しれつ)なシェア争いに備える。アダニ・ロジスティクスは港湾運営大手アダニ・ポーツ・アンド・スペシャル・エコノミック・ゾーン(APSEZ)の子会社で、提携の金銭的条件は明らかにされていない。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策で人々が実店舗を敬遠する中、印EC市場の売り上げは加速している。2026年までに2000億ドル(約21兆8000億円)に達すると見込まれ、シェア争いが激しさを増している。同市場は三つどもえ戦の様相を呈しており、米EC大手アマゾン・コムの他、アジアで最も裕福な実業家ムケシュ・アンバニ氏が所有する複合企業、リライアンス・インダストリーズがフリップカートとしのぎを削る。

 共同声明によると、アダニがムンバイで手掛ける物流拠点に延べ床面積53万4000平方フィート(約4万9610平方メートル)、サッカー場およそ11個分の大規模フルフィルメントセンターを建設し、フリップカートにリースする。22年7~9月期の稼働開始を予定しており、1000万単位の在庫を保管できるという。

 また、フィリップカートは南部チェンナイのアダニ・コネックスの施設で3番目となるデータセンターを展開し、国内のデータ保持に役立てる方針を明らかにした。アダニ・コネックスはアダニの中核企業アダニ・エンタープライジズと米データセンター運営大手エッジコネックスの合弁会社。

 コンサルタント会社ベクスリー・アドバイザーズ(ムンバイ)のマネジング・ディレクター、ウトカルシュ・シンハ氏は、アマゾンはかねて印国内のフルフィルメントセンターに巨額を投じており、同社のデータ中心の取り組みは大都市における一部商品の翌日配送を可能にしていると説明。シンハ氏は、「ウォルマートの計画が、フリップカートの配送、フルフィルメントにおける競争力を高め得るテクノロジーファーストのインフラ整備に同じように取り組むかどうかを確認することが非常に重要だ」と指摘する。

 ◆アマゾンに勝るか

 計画されている新フルフィルメントセンターは、アマゾンが印国内で運営するセンターの面積を上回る可能性が高く、印市場の将来的な規模を明確に示している。

 APSEZのカラン・アダニ最高経営責任者(CEO)は「フリップカートの物理的欲求とデジタルインフラのニーズに応える絶好の機会だと考えている」と意気込む。

 今回の提携はアダニ氏の影響力の高まりを示す新たな兆候でもある。石炭鉱業からデータセンターに及ぶ事業を展開する同氏の複合企業は急拡大し、セクター間で多様化している。同氏の純資産は今年、240億ドル増加。所有企業の株価上昇を受けて、アダニ氏の資産はほぼ580億ドルに急騰と、富の増加ペースは世界最速だ。(ブルームバーグ P R Sanjai)

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