海外情勢

ファミリーオフィス“応戦” 米規制強化機運、ロビーで押し返す

 米国でビル・フアン氏が創設したファミリーオフィス(個人を顧客とする投資会社)アルケゴス・キャピタル・マネジメントが破綻したことで、実態を明かさず活動してきた数千のファミリーオフィスの「プライバシー」にとって、過去10年で最大の試練となるが、彼らが闘わずして降伏することはないだろう。

 SECで検討始まる

 議会や規制・監督当局、消費者保護団体の一部は、非公開で規制が緩いにもかかわらず、世界の超富裕層の資産推定6兆ドル(約656兆円)を管理・運用するファミリーオフィスの内部構造に光を当てるよう圧力をかけ始めた。

 提唱される改革が実現すれば、米国のファミリーオフィスは投資顧問として証券取引委員会(SEC)への登録が義務付けられ、他の大部分の投資会社と同様に保有資産を四半期ベースで公表しなければならなくなる。

 そのようなデータは規制・監督当局や投資家、金融業界の他のプレーヤーに隠されたリスクを注意喚起する効果が期待される一方、自己勘定の保有情報をライバルに明かすことになりかねない。

 ゲンスラーSEC委員長はウォール街に厳しいと定評があり、規制強化を主張する人々は新委員長も自分たちと同じ考えだと楽観している。権利擁護団体ベター・マーケッツの最高責任者、デニス・ケラハー氏は「ファミリーオフィスを適用除外とする根拠を今や擁護できないのは明らかだ。SECがこれを速やかに変えるとわれわれは考える」と述べた。

 関係者によると、SECはファミリーオフィスを含む投資会社の情報開示要件を強化し、デリバティブ(金融派生商品)と空売りポジションの記載を提出書類に盛り込むべきかどうか既に検討に入っている。

 これに対し、ファミリーオフィスの代表らは、2008年の金融危機後に厳しい規制対象になることを免れて以来の大掛かりなロビー活動を準備し、押し返す構えだ。

 アルケゴスと無関係

 プライベート・インベスター・コーリションのロビイスト、ブライアン・リアドン氏は「アルケゴスが行ったことや彼らが問題を起こした事実と、ファミリーオフィスの内部構造は無関係だ」と指摘。提唱されている情報開示の一部が必要ない理由を主張するため、SECと商品先物取引委員会(CFTC)、議員らに働き掛ける予定だと明らかにした。

 ファミリーオフィス協会の創設者アンジェロ・ロブレス氏も、規制・監督当局がファミリーオフィスに対し強硬なスタンスを取る場合には、法律事務所や上院議員らに接触する計画だ。アルケゴスが多用していたデリバティブの種類に同氏は言及し、「スワップ規制が強化される結果になる可能性が高い」との認識を示した。(ブルームバーグ Joe Light、Ben Stupples)

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