海外情勢

中国需要、原油相場を下支え 交通量・工場稼働率は危機前上回る

 中国の交通量や工場稼働率は正常に戻っただけではなく、新型コロナウイルス危機前の水準を上回っており、世界の石油需要の回復を支えている。

 中国に並ぶアジアの原油の大消費地であるインドの需要が新型コロナ感染悪化で低迷するなか、中国の旺盛な消費は世界の原油の強気相場を下支えしている。同国は世界最大の原油輸入国であり、年内に石油精製能力でも世界一へ躍り出る見通しだ。

 5月20%増の可能性

 北京に拠点を置くコンサルティング会社SIAエナジーのアナリスト、センギック・ティ氏の試算によると、5月の中国の石油需要は2019年同月との比較で20%増える可能性がある。中国国内のエネルギー消費は昨年の一部の期間を除いて好調であり、ティ氏は今後も旺盛な需要が続くと見通している。

 衛星画像や夜間光などのデータを分析するスペースビジョンによると、3月末の同国の143拠点の工場の稼働率は83.5%で、昨年同期の70.3%と19年同期の73.6%を上回った。

 欧米で地図・位置情報サービスを展開するトムトムのデータによると、4月12日までの1週間の朝のラッシュアワーにおける北京、上海、天津、長沙、武漢など主要都市の道路の混雑度は19年の平均水準を越えた。

 石油製品の中でも特に打撃を受けたジェット燃料にも追い風が吹いている。中国交通運輸省のデータによると、清明節連休(4月3~5日)中に国内フライト数が433万便と、昨年同期の3.56倍に増加した。

 業界コンサルタント会社FGEのアナリストであるミア・ゲン氏によると、中国のジェット燃料需要は今後安定し、国内旅行需要の下支えにより年末にかけて徐々に改善する見通しだ。「5月のゴールデンウイークにはフライト数が過去最高になる可能性がある」とも指摘する。

 原油価格は約1年前に暴落したが、その際にも中国がその後の相場回復の牽引(けんいん)役となった。新型コロナの発生源である中国はいち早く感染拡大の打撃を受けたものの、他の大国がロックダウン(都市封鎖)を実施している期間に既に回復基調に入っていたためだ。世界の他の地域が新型コロナの波に襲われる中、中国での消費は原油相場を安定させる主要な役割を担っている。

 7~9月70ドル突破も

 世界最大の独立系石油商社ビトル・グループは今年の世界の原油需要は急回復するとみている。ビトルのハーディ最高経営責任者(CEO)はインタビューで「7~9月期には価格が1バレル=70ドルを超える可能性が高い」と指摘する。

 一方、中国の旺盛な石油需要は二酸化炭素(CO2)削減に注力する目下の中国政府の取り組みとは相反するものだ。中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は4月に開催された「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」で、グリーンエコノミーへの移行に向けた取り組みの一環として、外貨準備を用いた高炭素資産への投資を制限する方針を示した。(Bloomberg News)

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