海外情勢

レバノンの経済危機最悪 政治空白続き国民55%が貧困

 中東レバノンでアウン大統領が新首相にハリリ前首相を指名し、組閣を命じて半年が過ぎた。昨年8月に当時の政権が退陣表明してから政治空白が続き、経済危機も深まっている。国連は国民の55%以上が貧困層に陥ったとし、さらに悪化すると警鐘を鳴らす。「(1990年までの)内戦以降で最悪」(地元紙)の事態を打開できずにいる。

 キリスト教やイスラム教シーア派の政治勢力に支持されるアウン氏と、スンニ派のハリリ氏が閣僚ポストをめぐり駆け引きを展開。両者は組閣できない責任を互いに押し付け合い、政権が樹立できない状態が続いている。

 通貨レバノン・ポンドは90年代から1ドル=約1500ポンドに固定されていたが、実勢レートで価値が約9割下落。物価高も続く。2019年末に500億ドル以上あった外貨準備高は4月現在で「約158億ドル」(ワズニ暫定財務相)まで減った。

 だがレバノンの旧宗主国フランスをはじめとする国際社会は、支援開始には信頼できる新政権の樹立が必須との立場だ。

 レバノン政治の研究者、ムスタファ・カマル氏は、レバノンの組閣は混在する宗派や利権構造への調整が必要で常に難航すると指摘し「政治的、経済的な危機が極まり、先が見えない」と話した。

 首都ベイルートの洋服店店員、バシマ・ファルハットさんは「腐敗した政治は市民生活を無視している」と憤る。40代の女性は「政治家は既に信頼を失った。この状態が続くなら軍政の方がまだましだ」と語った。(ベイルート 共同)

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