海外情勢

ドバイ住宅に富裕層マネー ワクチン接種で観光再開、世界から投資拡大

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイの高級住宅物件市場が、世界の富裕層の避難先として活況を呈している。

 心理改善で価格上昇

 中東の商業・経済の中心地、ドバイの不動産市場は、6年前からの低迷で価格が3分の1余り下落していた。だが新型コロナワクチン接種先進国であるUAEに属するドバイは、観光客受け入れを再開。欧州からは自国で繰り返されるロックダウン(都市封鎖)から逃れようと、他国からはワクチン接種目的と、世界各国の富裕層を引き付け、高級不動産市場が活気づいている。

 不動産コンサルティング会社プロパティ・モニターのデータによると、3月には1件当たり1000万ディルハム(約2億9800万円)以上の不動産取引数が過去最多の84件、最高級住宅の取引額は総額17億ディルハムに達した。勢いは4月も続いており、同月下旬までに1000万ディルハム以上の物件は69件、総額13億6000万ディルハムが販売された。

 英不動産コンサルティング会社ナイトフランクのドバイ在勤調査部門責任者、タイムール・カーン氏は「市場心理が大きく変化し、価格が全面的に上昇している。最高級不動産市場は、ドルと連動した経済の資産を探す欧州投資家からの資金が大半を占める」と説明している。UAEの通貨ディルハムはドルとの連動制を採用している。

 一方、UAEは観光目的の旅行者を対象に複数回の入国を認める「マルチ観光ビザ」と、外国人労働者の居住を認める「リモートワークビザ」という新たな制度を導入した。リモートワークビザを取得すれば、外国の企業で働いていてもUAEへの居住許可が与えられ、同国でリモートワークが行える。

 不動産購入もドバイでの居住許可を得る最速の方法の一つだ。

 「規制が緩くて安全」

 プロパティ・モニターのザーン・ヨチンケ最高執行責任者(COO)は「ドバイは相対的にみて、他の場所よりも安全で規制が緩いと思われる。ドバイへの投資と人の誘致増加を狙う政府の構想も、不動産市場の長期見通しに対する市場心理の改善に寄与している」と分析する。

 3月には1000万ディルハム以上の居住物件が販売件数全体に占める割合が2.5%と、2月の1.5%から伸びた。昨年同月には前年比9.8%落ち込んでいた住宅価格が、今年は同1.3%上昇と、2015年以来で初めて上向いた。また、全価格帯の不動産取引が10年ぶりの高水準だった。

 とはいえ、ナイトフランクのカーン氏は「かなり大幅な修正が入り、現在、高額物件がうまくいっている。ただこうした市場の一部の価格変化率を考えると、本当に持続可能かどうか見極める必要がある」と慎重な見方をしている。(ブルームバーグ Zainab Fattah)

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