海外情勢

中国のネット教育に冷水「子供に多大な圧力」 複数の超大型IPO棚上げ

 中国がオンライン教育事業への締め付けを強化しており、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったスタートアップ企業が新規株式公開(IPO)計画の棚上げを余儀なくされている。

 学習スタイルや教材にデジタル技術を活用した「エドテック」企業は、新型コロナウイルス危機後の中国インターネット業界で最も人気の高い投資先の一つだ。英調査会社プレキンは、エドテック企業が昨年、アリババグループや騰訊(テンセント・ホールディングス)、ソフトバンクグループなど大手から受けた出資額が過去3年の調達総額を上回る105億ドル(約1兆1520億円)に上った理由を、その絶大な規模によると分析。独調査会社スタティスタによれば、中国のオンライン学習市場は、2020年に3150億元(約5兆4300億円)と、5年前の3倍近くに達したもようだ。しかしその後、中国当局が介入した。

 「教育熱につけ込む」

 習近平国家主席は3月、放課後の学習指導サービス急増が子供たちに多大なプレッシャーをかけていると示唆し、行き過ぎ抑制に個人的な関心があるとの意志を示した。これを受け、国営メディアが警告を発し、中国の教育熱につけ込んだ強引なやり方だとして企業への罰則にもつながった。関係者によれば、教育省は現在、全ての民間教育プラットフォームを監督する専門部署を初めて設立することを計画しているという。

 こうした政府の動きを受け、実現すれば超大型のIPOになると見込まれていた幾つかの上場計画が突然止まっている。関係者の話では、テンセント系のVIPKidと火花思維は銀行側と数カ月作業を進めていたにもかかわらず、米国での上場を延期。アリババ出資の作業幇は、年内にも上場という目標を達成できない公算が大きく、テンセントが支援する猿輔導(北京猿力教育科技)は、評価額が155億ドルと同業で最も高いが、IPOの準備を近く開始する計画はないという。

 近く自宅学習制限も

 中国政府は放課後の学習指導サービスで成功を収め、無秩序な宣伝広告を展開する教育系スタートアップに狙いを定めている。こうした企業が、数百万人の子供たちを効果が明らかではない退屈なバーチャル授業に向かわせていると指摘。また当局は、見境のない価格設定や宣伝だけではなく、多くの追加授業料の支払い能力がある者とない者の格差拡大にも懸念を募らせる。政府高官は今月、エドテック企業が徴収する放課後の学習指導料に制限を課すなど大量の規制を示し、猿輔導と作業幇に対しては虚偽広告などで罰金を科した。

 中国メディアは6歳以下の子供に対するオンライン授業の禁止や自宅学習の制限などの対策が近い将来に講じられると報じている。ロイター通信は新たな政策に週末授業の一時停止が含まれると伝え、ブルームバーグインテリジェンス(BI)は、それが中国の個人授業料の3分の1以上を占め、週末授業の全面禁止で「業界全体の収入が大幅に縮小する可能性がある」(BIのアナリスト、キャサリン・リム氏)と分析している。(Bloomberg News)

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