海外情勢

中国船団、南沙諸島に3カ月 フィリピンとの対立エスカレートに懸念

 200隻以上の中国船団が3月に南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で確認されて約3カ月。フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に居座り、両国の緊張が続く。フィリピンは実効支配する島の軍事拠点化を計画するが、中国との全面対立は避けたいのが本音だ。

 「パグアサ(英語名ティトゥ)島周辺での中国漁船の長期停泊と違法行為に抗議した」。フィリピン外務省は5月下旬、領有権争いの最前線から中国漁船を退去させるよう要求した。

 同島は南沙諸島で2番目に大きいとされる島で、フィリピンが1970年代から実効支配。管轄する町の職員や漁師が生活費の支給を受けて島で生活し、軍や沿岸警備隊も駐留する。

 フィリピンは最初、約220隻の中国船団を西部パラワン島沖で今年3月7日に確認した。抗議すると、中国側は「現場は中国の一部」と主張した上で「荒天による避難だ」と反論。しかし、中国海軍の軍艦や海警局の艦船も含まれており、フィリピンのロクシン外相は「うせやがれ」と怒りを爆発させた。

 フィリピン軍幹部はパグアサ島を兵站基地化する計画を発表し「われわれの目的はEEZから中国の海上民兵などを追い出すことだ」と強調、海上パトロールの範囲や頻度を大幅に拡大し警戒を強化している。

 ただ、中国は最大の貿易相手国で、新型コロナウイルスワクチン供給も依存。親中的なドゥテルテ大統領は5月、対立のエスカレートを懸念し「南シナ海について誰とも議論しないよう閣僚に命ずる」と異例の箝口(かんこう)令を敷かざるを得なくなった。

 長期停泊を続ける中国側の狙いは、1月に発足したバイデン米政権の対応を見極めることとの見方もある。ただ、中国は1995年、フィリピンのEEZ内のミスチーフ礁に勝手に構造物を建設し実効支配を始めたことがあり、今回もその「前触れ」ではないかとの懸念が拭えないままだ。(マニラ 共同)

【用語解説】中国の海洋進出 中国は南シナ海で「九段線」と呼ばれる境界線を独自に設定し、ほぼ全域に主権や権益が及ぶと主張している。国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は2016年7月、中国の主権主張を退ける判断を示したが、中国は無視。岩礁などを埋め立てて人工島を造成し、滑走路やレーダーなど軍事施設の整備を進めた。東シナ海でも、沖縄県・尖閣諸島を中国領だと主張、公船による領海侵入を繰り返している。(共同)

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