海外情勢

EUがコロナ復興債始動 100兆円規模、米国債に並ぶ巨大市場に

 欧州連合(EU)は15日までに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済復興を支えるための債券発行計画の第1弾の注文受け付けを開始した。この「復興債」は5年間で約8000億ユーロ(約106兆7000億円)の発行を計画しており、「欧州の未来を変える」と期待を集めている。復興債は将来的に米国債と並ぶ低リスクで厚みのある債券市場を形成するとみられ、世界的な投資の流れにも影響を与えそうだ。

 14日に受け付けを開始した第1弾の復興債には15日までに1070億ユーロの注文が集まった。7月末までにさらに2回発行する計画だ。

 「欧州の未来変える」

 EUは「ネクストジェネレーションEU(NGEU)」計画の下で加盟各国に補助金や融資として復興資金を提供する。その資金を調達するため、まず10年債を発行する。

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は14日公表したインタビューで「NGEU計画は欧州の未来を変える」と語った。EUとして債券市場に本格的に参入するのは初めてだが、将来的に安全資産として米国債に並ぶ市場を築くための土台になる。共通債の発行はEUの統合を進展させ、ユーロの地位向上にも寄与する。

 ブルームバーグのまとめによれば、NGEU債の仮条件の利率はEUの既発債のカーブが示唆する水準よりも高い。

 レイナー・グンターマン氏らコメルツ銀のストラテジストは14日のリポートでNGEU債について、「まずまずの新規発行プレミアムと最近のスワップやフランス国債に比べた割安さで、初のNGEU債発行は成功するだろう。年内の発行計画の大きさを考えると今回の発行規模は膨らみそうだ。100億ユーロを超えるかもしれない」との見方を示した。

 昨年発行を開始した、より規模の小さい「緊急時失業リスク緩和支援(SURE)」制度向けのEUのソーシャルボンド(社会貢献債)は、今後の供給増への警戒感から平均的な運用成績を下回っている。EUは今年だけでも長期債で1000億ユーロを調達する計画。10年物SURE債のドイツ国債に対する上乗せ金利は、昨年10月の発行以降の最大水準で取引されている。

 既発分超える期待

 NGEU債の約3分の1はグリーンボンド(環境債)となる計画だが、9月までに予定される枠組みの公表を待って、発行が開始される。

 経済再開とインフレ加速見通しでユーロ圏の債券利回りはここ数カ月に上昇しSURE債の魅力を低めているが、NGEU債はその発行規模から長期的には米国債に並ぶ市場になると期待されている。

 域内で代表的な債券であるドイツ国債はリスクゼロ資産だが、発行高が限られる。この一方、域内周縁国が発行する国債には投資リスクがつきものだ。(ブルームバーグ Greg Ritchie、John Ainger)

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