海外情勢

「日本との関係修復は避けて通れない」韓国のものづくり産業の"これから" (1/3ページ)

 日本から韓国への輸出が勢いづいている

 2020年秋口以降、わが国から韓国への輸出の推移をみると、わが国からの輸出の増加ペースは勢いづいている。その背景の一つには、韓国での半導体部材や、半導体製造装置などの需要増加がある。わが国から韓国への輸出の増加傾向は、韓国経済にとってわが国のモノづくりのアクセスの重要性を浮き彫りにしている。

 韓国の景気循環を振り返ると、基本的に株価が上昇して景気回復期待が高まる局面で、対日輸入は増加した。特に、アジア通貨危機後の化学製品の輸出の伸びは、今日の韓国経済の牽引役というべきメモリ半導体メーカーの競争力を支える重要な要素と考えられる。

 サムスン電子などはメモリ半導体に加えて、ロジック半導体の受託生産(ファウンドリー)事業を強化しようとしている。中国経済の成長の鈍化懸念など不確定な要素もあるが、中長期的に韓国経済全体でわが国からの素材や機械の調達の重要性は高まる可能性がある。微細かつ精緻なモノづくりの力はわが国経済の成長を支えるコア・コンピタンスであり、官民総力を挙げて強化することが必要だ。

 日本からの輸入品は約30年で様変わりした

 財務省が公表する貿易統計によれば、1988年以降のほとんどの月において、わが国の対韓貿易収支は黒字だ。以下では、韓国がわが国から何を輸入し、どのように経済成長を実現したかを確認しよう。

 1988年1月時点での対韓輸出を品目ごとに見ると、最大の輸出品目は電気機器(対韓輸出に占めるウェイトは約28%、半導体等電子部品や音響・映像機器およびその部分品など)、2番目が一般機械(同23%、金属加工機械やポンプなど)だった。

 それに対して、2021年5月時点の対韓輸出では、最大の品目が化学製品(同24%、半導体生産に必要なフッ化水素など)。2番目が一般機械(同21%)だ。また、シリコンウェハーなどは科学光学機器をはじめとする特殊取扱品に分類され、対韓輸出に占める割合は上昇している。

 品目ごとに見た対韓輸出の推移から示唆されることは次の通りだ。1980年代後半の韓国は、すでに機能が確立された製品、およびその部品などをわが国から輸入し、国内需要を満たした。また、韓国はわが国から工作機械などを輸入して資本蓄積を進めた。それは、韓国の企業がわが国の生産技術に習熟する機会にもなっただろう。

 日本の機械が分解され、模倣されてきた

 わが国から韓国への技術移転を加速させる一因となったのが、1980年代半ば以降の日米の半導体摩擦の熾烈化だ。それによって、わが国電機メーカーから韓国企業へ、メモリ半導体などの技術移転が進んだ。1989年には日立製作所との技術提携によって、LGが金星エレクトロンを設立した。金星エレクトロンは今日のメモリ半導体大手であるSKハイニックスの前進企業の一つだ。

 わが国からのモノの輸入や技術移転によって、韓国の家電(後のデジタル家電)や半導体の生産能力は高まった。その結果、1980年代後半から1990年代後半にかけて、部品を含む電子機器と精緻な加工を可能にする一般機械はわが国の対韓輸出の主要品目だった。2000年代に入ると、対韓輸出に占める電子機器の割合は徐々に低下した。それが示唆することは、特定の機能を発揮するモノは分解され、模倣されるということだ。

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