ディズニーリゾートに追いつけ! ハウステンボス、USJもあの手この手
2012.3.15 20:34更新
東京ディズニーリゾート(TDR)が“独り勝ち”とされるテーマパーク業界で、地域のパークが生き残りに向けて改革のスピードを上げている。
長崎県のハウステンボス(HTB)は、先月末に開設した長崎-上海間の旅客船航路を活用し、海外からの集客を加速する一方、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も16日、新エリアをオープンするなど、さまざまな施策を打ち出している。(中山玲子)
開園10周年となるUSJは16日、ハローキティなど子供に人気のキャラクターをテーマにした新エリア「ユニバーサル・ワンダーランド」をオープン。アトラクションやレストランなど28施設を新たに設けた。
環境デザインの世界的権威、スーザン・M・ゴルツマン氏の理論を元に、子供の想像力や好奇心を育む設計を行った。
スリルやスピードを味わうこれまでのゾーンとは対照的に、就学前の子供でも安心して遊べるのが特徴で、親子連れの来場拡大を狙う考えだ。
USJの年間来客数は約800万人。新アトラクションなどの目玉“商品”を次々に出すが、「何もしなければ、せいぜい来ても年1回。もっと頻繁に来てもらうためには、毎年何かを打ち出すことが大事」(同社広報)とアピールする。
一方、HTBは平成4年の開園以来赤字続きだったが、22年4月、旅行会社のエイチ・アイ・エス創業者、沢田秀雄会長が社長に就任。さまざまな改革を行い、たった半年で初の黒字化に成功した。来客数も最低時より約40万人多い179万人に増加し、今期は190万人を見込む。
HTBでは、カップルや家族連れが多い冬に照準を合わせ、当初の8倍となる820万球を使用したイルミネーションイベント「光の王国」を11月下旬から開催。初夏や秋は、世界トップクラスの庭師が集うガーデニングコンテストを実施し、シニア層を捉えた。
さらに先月末からはグループ会社を通じ、中国からの観光客誘致を目的に、長崎-上海間のクルーズ航路を開設。船内で日本製の家電製品などの買い物もできるようにした。
このほか、英語学習と健康プログラムを提供する事業を手がけるベンチャー企業2社をパーク内に誘致。「観光以外の客も呼び込むことで、シーズンに左右されない平準化した来客数を目指す」など、斬新な取り組みも行っている。
ディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニーは「テーマパークは永遠に完成しない」との名言を残した。
USJやHTBも人を魅了する新たな取り組みを次々に打ち出し、パークの活性化につなげる。