シャープ“台湾流”視界不良 技術流出の懸念、アップル依存度高まる恐れも
2012.5.7 16:45更新
平成24年3月期に過去最悪の最終赤字に転落したシャープ。25年3月期も液晶や太陽電池など、かつての“ドル箱”事業の不振で2期連続の最終赤字を見込む。業績回復の切り札と期待するのが、受託製造世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本業務提携だ。しかし、4月27日の決算発表では、具体策は交渉中として提携効果を盛り込めず、“台湾流”の復活シナリオはいまだ見えない。
「鴻海との具体的な提携効果が示されなかったことは残念だ」
シャープが25年3月期も300億円の最終赤字に陥る見通しを発表した後、ある証券アナリストはこう話した。
決算発表後、初めての取引となった1日の東京株式市場。2期連続の最終赤字見通しを嫌気し、シャープ株は年初来安値となる前週末比51円安の465円まで一時売り込まれた。約32年ぶりの安値水準だ。
24年3月期は競争激化に伴う価格下落で、液晶や太陽電池といった主力事業が営業赤字に転落。抜本的な立て直し策は示されず、25年3月期も両事業は営業赤字が残る見込み。
4月にトップに就任したばかりの奥田隆司社長は「今年度上期は厳しいが、下期には黒字化を目指す」と強調する。だが、SMBC日興証券の三浦和晴シニアアナリストは「上期で在庫処分を終え、下期に急回復を遂げられるかどうかはリスクが残る」と指摘する。
シャープが起死回生の策と期待するのが鴻海との資本業務提携だ。鴻海は日本や米国のメーカーから薄型テレビやゲーム機、携帯電話などの生産委託を受け、22年12月期の連結売上高は8兆円を超える。
シャープにとって悩みのタネは、約4千億円の巨額投資で稼働させたものの、需要低迷で5割の減産を強いられている大型液晶パネルの堺工場(堺市)。鴻海に液晶パネルを供給すれば、堺工場の稼働率が上がり、液晶事業の採算を改善できる。
さらに視線の先にあるのは、スマートフォン(高機能携帯電話)などの製造を鴻海に委託している米アップルだ。アップルが開発中とされるテレビに液晶パネルを供給できれば、業績回復にむけて一気に視界が開けてくる。
だが、鴻海との提携は“もろ刃の剣”。鴻海には10月以降に液晶パネルを供給する計画だが、技術流出の懸念が残る。コスト削減に定評のある鴻海のテレビが市場に出回れば価格下落に拍車がかかり、シャープのテレビ販売にも悪影響を及ぼす可能性がある。
仮にアップル向けテレビに液晶を供給できても、アップルへの経営の依存度が高まりかねない。
今後の成長戦略を鴻海との提携に賭けたシャープ。5月末にも発表するとみられる提携の具体策とその効果について、市場は固唾をのんで見守っている。(大柳聡庸)