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スマホ・タブレット 情報端末も高齢者照準 携帯各社、機能充実

2012.6.4 05:00更新

インターネットの年齢別利用状況

 携帯電話各社が、高齢者向けの端末機器やサービスの充実を競い始めた。高齢者は「情報弱者」の代表的存在とされてきたが、携帯電話の加入数が総人口を上回る1億2000万件を超えて飽和状態となる中、情報機器への抵抗感がなくなりつつあるシニア層が有望市場として台頭。各社は従来型の携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)、タブレット型端末の操作性の向上にしのぎを削る。

 使い勝手、料金克服

 「ドコモショップでは、シニアの方もスマホの売り場にまず足を運ばれるが、使い勝手や料金で二の足を踏んでいた。今回、2つの課題を克服した」

 NTTドコモの山田●持社長は5月16日、携帯電話などの夏モデル発表会後にこう語り、世界初ともいえる高齢者向けの「らくらくスマートフォン」の売れ行きに自信を示した。

 らくらくスマートフォンは、累計2000万台の販売実績を挙げた富士通の従来型携帯電話「らくらくホン」シリーズのスマホ版。大きめのキー配列など分かりやすい操作画面や、誤動作を防ぐため強めに押す仕様にしたタッチパネル、聞き取りやすい専用スピーカーなどシニア向けの機能を装備した。

 さらにスマホ独自の初期設定が不要なほか、専門アドバイザーのサービスも用意。料金面でも通常より45%安いパケット定額サービスを導入し、割安感を打ち出した。

 「らくらくホンの加入数900万件の5%に当たる50万台が、2012年度中に売れる」(山田社長)と見込み、文字入力の手間が省ける「しゃべってコンシェル」も高齢者向けに使い勝手を今後向上させるという。

 KDDI、ソフトバンクモバイルも夏モデルでは、従来型の携帯電話で高齢者向けの機能充実を図り、シニア層の取り込みに本腰を入れ始めた。

 抵抗感消え急伸

 各社がシニア市場に期待を寄せるのは、仕事や趣味などでパソコンや携帯電話の使用経験がある60代、70代が増えつつあり、高齢者層がそのまま「デジタルデバイド(情報格差)層」ではなくなってきたからだ。

 総務省が5月30日に発表した「2011年通信利用動向調査」によると、11年末の年齢別のインターネット利用率は70代が42.6%で、09年より9.7ポイントも上昇。95%前後に達する20代と30代、40代は頭打ち状態なのに対し、70代の急伸ぶりが目立つ。60代も前半が2.3ポイント増の73.9%、後半が2.9ポイント増の60.9%といずれも増加。比率が低いだけに、高齢者層は伸びる余地が大きい「新興市場」の様相を呈している。

 個人消費全体における高齢者の比重が高まっていることも、各社がシニア層を重視し始めた大きな理由だ。

 みずほ総合研究所が4月にまとめたリポートによると、住居や自動車に関する2008年と11年の消費の伸び率は、現役世帯(世帯主が59歳以下)がマイナスだった一方、高齢世帯(同60歳以上)はプラスだった。

 さらに通信、食料、教養娯楽・書籍等など13項目のうち8項目で高齢世帯の伸び率が上回っており、「08年秋のリーマン・ショック後の個人消費を牽引(けんいん)したのは高齢世帯だった」(経済調査部)と結論づけている。

 高齢者を対象にしたスマホやタブレット型端末の講習会も数多く催され、全国各地で活況をみせる。米アップルのタブレット型端末「iPad(アイパッド)」の無料講習会を9月に開くのが、インターネット関連ベンチャーのインターリンク(東京都豊島区)だ。

 “新興市場”期待 鍵握る開発力

 インターリンクの横山正社長は「将来、高齢者に特化したショッピングシステムやアプリケーション(応用ソフト)などで収益につながればいい」と、中長期的な視野でシニアビジネスを見据える。

 2年前に同社がアイパッドの講習会を催した東京都中野区の野方区民センターでは現在、岡田年弘さん(81)が講師を務め、パソコン教室を定期的に開いている。生徒の最高齢は延寿寺正登さん(91)。情報端末を普段撮影した写真の整理などに活用しており、「アイパッドで新聞や本も読んでいる。ストレス解消も兼ねて一生懸命取り組んだことで、使いこなせるようになった」と話す。

 高齢者向けのパソコンやスマホの講習会だけでなく、自発的なサークルも全国的に増えつつあり、新たなユーザー層としての存在感を高めている。ただ、携帯電話会社やIT関連企業の高齢者向け製品はまだ限定的。多様なニーズに対応した製品開発やきめ細かなサービスを提供できるかが、シニアビジネスの成否を左右しそうだ。(芳賀由明)

●=隆の生の上に一

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