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日本のゲーム開発も空洞化? アジア舞台に“人材獲得競争”激化

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日本のゲーム開発も空洞化? アジア舞台に“人材獲得競争”激化

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 インターネットを介して複数の人が同時に参加できるオンラインゲーム市場が急成長する中、カプコンやディー・エヌ・エー(DeNA)など日本企業がアジアに開発拠点を設ける動きが活発化してきた。日本よりも利用者数が多いといわれるアジアで、現地向けのオリジナルゲームを開発するのが目的だ。同時に優秀な開発者を発掘したいという狙いも兼ねている。新作ソフトの量産が求められるゲーム業界では、開発者の確保は重要課題だけにアジアを舞台にした“人材獲得競争”は今後さらに激化しそうだ。

 「日本で培ったゲーム作りのノウハウとアジアの文化を融合させたゲームを開発したい」

 8月10日。ゲームソフト大手のカプコンは、台湾・台北市に開発拠点を設立すると発表。現地で行われた記者会見の席上、同社の人気ゲーム「ストリートファイター」シリーズのプロデューサーである小野義徳氏は、力強くこう語った。

 カプコンは、台湾や香港、東南アジアを対象に日本で人気のオンラインゲームを配信するほか、台湾の開発者を雇用して現地向けのオリジナルゲームの開発も目指す。

 「台湾人は日本のビジネススタイルや文化を理解でき、現地の好みに合わせた新しいゲームを生み出せる」(担当者)と期待をこめる。

 また、カプコンの台湾進出は「現地向けの新製品開発だけでなく、開発者を確保する狙いも大きい」(証券アナリスト)という指摘も。オンラインゲームは開発・運営に多くの人材が必要だが、日本国内だけでは開発者が不足している現状があるからだ。

 「レベルの高い人材を獲得するためにアジア進出は避けられない」

 日本向けのゲーム開発を担当するベトナムのプログラマーなどを雇うため、2011年9月に首都ハノイの開発会社を買収したDeNAの担当者はこう打ち明けた。

 業界関係者によると、スマホ向けのゲームは、通常のゲームとは異なり、わずか数カ月という短期間で1作品を完成することも求められる。「日本国内だけでは到底足らず、優秀な人材をアジアで雇用するのは必要不可欠」(DeNA担当者)というわけだ。

 中国・韓国で計約百人の現地開発者を雇うグリーも「日本と肩を並べる能力を持つ人材を確実に得られた」と自信を見せる。

 一方、ゲーム各社が開発コストの削減を重視する動きを強めることで、日本よりアジアの開発者の雇用が今後優先される恐れを心配する声も上がる。

 日本のあるゲーム開発者の男性は「特に東南アジアでは、日本の企業への採用を希望する開発者が山ほどいる。今後、アジアの人材を使った現地開発が拡大したら、日本の開発者の雇用が冷え込むことにもつながりかねない」と話す。

 アジアを舞台にしたゲーム市場の拡大や現地開発者の雇用の増加は、日本のゲーム開発が“空洞化”する可能性も否定できず、多くの課題が浮かび上がりそうだ。(板東和正)

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