ニュースカテゴリ:企業
サービス
「ドラゴンボール」は17年ぶりに映画! 最強ブランド漫画が次々復活するワケ
更新
17年ぶり18作目の劇場版として帰ってくる「ドラゴンボールZ」(C)バードスタジオ/集英社(C)「2013ドラゴンボールZ」製作委員会 1980年代から90年代、爆発的な支持を獲得した漫画「ドラゴンボール」。この説明不要の大傑作が17年ぶりに劇場版のアニメ映画「ドラゴンボールZ」として蘇ります。劇場版としては18作目。公開は来年の3月30日ですが、真打ち登場という感じで、当時、熱狂した団塊ジュニア以下の世代は待ちきれないのではないでしょうか。(岡田敏一)
一応、簡単に説明します。「ドラゴンボール」は84年から95年までの約10年半、週刊少年ジャンプに連載されました。原作兼作画は、ジャンプでの初連載作品「Dr.スランプ」を大ヒットさせた鳥山明さん。「ドラゴンクエストシリーズ」をはじめとするゲームのキャラクターデザインを手がけたことでも有名です。そんな鳥山さんが出世作「Dr.スランプ」の連載終了後に始めたのが「ドラゴンボール」でした。
世界中に散らばった7つ全てを集めると、どんな願いも1つだけ叶うという秘宝の玉「ドラゴンボール」をめぐり、主人公の孫悟空らが繰り広げる壮大な物語は、江戸時代に人気を集めた長編伝記小説「南総里見八犬伝」と西遊記から着想を得ています。
当初はちょっぴり笑える楽しいファンタジー系の冒険物語でしたが、強大な破壊力を誇る敵が続々登場するシリアスなバトルものに作風を変更したところ、凄まじい人気を獲得。約10年半という長期連載を実現し、単行本(コミックス)は全世界24カ国に翻訳され、累計2億3000万部を売りました。(ちなみにあのハリー・ポッターのシリーズは約4億5000万部)
86年からはフジテレビ系列でアニメも放送されましたが「ドラゴンボール」「ドラゴンボールZ」「ドラゴンボールGT」の3作の計11年間の平均視聴率は20%を超え、全世界40カ国以上で放映されました。欧米でも高い人気を誇っています。
一方、ジャンプの方も80年代から90年代「ドラゴンボール」と「北斗の拳」という2大人気作のおかげで、91年には何と漫画雑誌として空前絶後の600万部超えという大記録を達成。漫画雑誌が全国紙の発行部数を抜いたと話題になりました。
さて、そんな「ドラゴンボール」シリーズの復活最新映画ですが、今回は鳥山さん自らが初めて脚本段階から制作に深く関わり、アニメシリーズの「Z」と「GT」の間、つまり原作の517話で魔神ブゥとの戦いが終わった後、518話までの空白の10年間に起こったエピソードを初めて描きます。
制作は鳥山さんの作品を一貫してアニメ化してきた東映アニメーションが担当。クリリンやピッコロ、ベジータらおなじみのキャラクターも総出演し、すべての世代が楽しめる内容になっているといいます。
確かに凄まじい商業的成功を収めた「ドラゴンボール」ですが、この作品の本当のスゴさは、次世代の漫画原作者や漫画家に与えた強大に影響力だと思います。次から次に登場する強大な敵を仲間との友情で打ち倒すといういまのバトル漫画の黄金律を作り出したのが「ドラゴンボール」なのです。「ONE PIECE」も「NARUTO-ナルト-」も「トリコ」も「ドラゴンボール」がなければ生まれていなかったといっても言い過ぎではないでしょう。
そんな歴史的なヒット漫画がなぜいま、復活するのでしょう?。その理由を探ると、漫画業界の苦しい台所事情が浮かび上がってきます。
出版業界の動向を調査している出版科学研究所(東京)の調べでは、漫画雑誌(コミック誌)の年間売上高は、少子高齢化や子供向けの娯楽の多様化などの影響などで95年の3357億円をピークに年々減少。昨年は1650億円(前年比7・1%減)でピーク時に比べるとほぼ半減という厳しい状況です。
コミックス(単行本)の方も国民的大ヒット作「ONE PEACE」効果の後押しはあるものの、93年以降だと2005年の2602億円をピークにほぼ下落傾向を続けています。
さらにニーズの細分化により、幅広い世代をカバーするような新しいヒット漫画は極めて生まれにくい状況です。人気作はどんどん長寿化し、コミックスの巻数を重ね続けるのにはこうした事情があるのです。
そんなかつてない逆風を吹き飛ばすパワーのある最強ブランドとして「ドラゴンボール」に白羽の矢が立ったのは、ある意味、当然といえるでしょう。
実際、漫画業界では、コミック誌の低迷に歯止めをかけようと、こうした懐かしの大ヒット作の復活が相次いでいます。
90年代、ジャンプで人気を博した「るろうに剣心」が、8月25日の実写映画版公開に合わせ、月刊漫画誌ジャンプスクエアの6月号から、オリジナル版を再構成したキネマ版の連載をスタート。メディアミックスで盛り上げようとしています。
同じく80年代、週刊少年サンデーに連載された人気作「タッチ」の26年後を舞台にした新連載「MIX(ミックス)」がゲッサン(月刊少年サンデー)の6月号からスタートしましたが、何と異例の重版がかかるほどの人気を獲得しました。
また、90年代、週刊少年マガジンの看板作品のひとつだった人気推理マンガ「金田一少年の事件簿」も誕生20周年を迎えたのを機に、3月7日発売の14号からマガジンで12年ぶりに通年連載を再開しました。
さらに87年からジャンプなどで連載が続く大作「ジョジョの奇妙な冒険」も、連載25周年の節目となる今年、ついにテレビアニメ化が決定。10月から放送が始まります。今後、こうした傾向はますます強まるでしょう。