SankeiBiz for mobile

シャープ創業100周年に最大の危機 一筋縄ではいかない“救世主”との協議

ニュースカテゴリ:企業の経営

シャープ創業100周年に最大の危機 一筋縄ではいかない“救世主”との協議

更新

 シャープは15日に創業100周年を迎えた。数年前に「液晶のシャープ」として一世を風靡(ふうび)したものの、過剰投資があだとなり、2012年3月期に過去最大の最終赤字を計上。3月に“救世主”として現れた台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携することで合意したが、シャープ株の急落を受けて鴻海による出資は棚上げの状況。資金繰りが厳しい中で、出資をめぐる鴻海との見直し協議は難航しており、創業以来、最大の危機を迎えている。

 株急落 歯車狂う

 「シャープと鴻海が一緒にやれば、絶対にサムスンに勝てる。手を組みましょう」

 今年3月。鴻海の郭台銘会長が、シャープの町田勝彦会長(現相談役)の手を取った。日本の電機大手として外資との初めての資本提携だった。

 シャープ本体に鴻海が9.9%を1株550円で出資することで合意。しかし、8月2日の決算発表を機に歯車が狂い始める。

 13年3月期の業績予想の最終赤字額を300億円から2500億円に下方修正すると株価は急落、提携契約当時の3分の1まで低下した。

 「そちらのお望みの額で結構です」

 いま出資すれば鴻海に損失を被らせてしまう。結局、シャープが譲歩する形で、鴻海の1株当たりの買い取り価格を時価を基準にした価格にする方向で交渉中だ。ただ、出資額の減少はシャープにとって想定外。主力取引銀行の支援がなければ、事実上再建は不可能なほど資金繰りは悪化している。

 シャープはこれまで、いくつもの危機を乗り越えてきた。かつての最大の危機は、戦後の混乱期におけるラジオ事業の低迷。1949年、連合国軍総司令部(GHQ)が実施した緊縮財政措置が不況を招き、ラジオ生産台数は48年の80万台から2年後に30万台を割った。

 かつて一度だけ人員削減に踏み切ったのも、このときだった。金融機関から追加融資の前提条件として求められた。

 約600人の従業員のうち3割超の210人が会社を去った。当時社長で創業者の早川徳次氏は「人員整理をするくらいなら会社を解散したほうがいい」と、社員らに苦しい心中を述べたという。

 しかし、その後は戦前から開発に着手していたテレビの量産に成功。国産テレビ第1号だった。朝鮮戦争の特需も後押しし、見事に危機を乗り越えた。

 追加リストラ必至

 早期に出資協議の決着を付けたいシャープに対し、「足下をみた」鴻海があえて協議を遅らせているとの見方もある。「一筋縄ではいかない相手」というのが、関係者らの間で共通する鴻海への印象だ。

 5000人の人員削減や賞与カットに踏み切るシャープは今、さらなる追加リストラ策を金融機関に求められている。皮肉にも、100周年の節目にシャープは正念場を迎えている。

ランキング