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日航、2年8カ月ぶり“テイクオフ” 最新鋭B787で描く成長戦略
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日航の「鶴丸」マーク 日本航空は19日の株式市場への復帰を「再出発へのスタートライン」と位置づけ、国際線の成長戦略を軸に事業展開を進める構えだ。
再上場後の日航に対しては、経営改革によって強化された経営基盤をてこに、成長戦略を一段と加速させることが期待されている。
「再上場に決して浮かれることなく、社員、経営一丸となって確実な経営に努めていきたい」。9月13日、東京都内で開かれた日航の国際線新サービスの発表会。報道陣から再上場への手応えを問われた植木義晴社長は、好業績に気を緩めることなく、業績向上に取り組む決意を示した。
この日発表したのは、国際線長距離路線で就航する「ボーイング(B)777-300ER」の座席の全面刷新。経営不振に陥り、新規投資を抑制してきたが、同路線での大規模な投資は約4年ぶりで、久々の明るい話題となる。
植木社長は「(競合各社のサービスに)追いついたというより、追い越した」と自信作への期待は高く、利用客を増やす“切り札”にしたい考えだ。
日航の2016年度までの5年間の中期経営計画では、最新鋭中型機「B787」の発注を45機とするなどして、国際線の旅客輸送能力を25%増強する。B787を含む航空機の購入にグループ全体で4780億円を投じるなど成長戦略を力強く進めていく方針だ。
帝国データバンクによると、集計可能な1962年以降に会社更生法の適用を申請した上場企業139社のうち、再上場できたのは日航が10社目。再上場までの期間は日航の約2年8カ月が過去最速となるという。2番目は約6年10カ月かかったヤオハンジャパン(現マックスバリュ東海)。
低迷する株式市場の活性化にも期待がかかる日航の再上場。BNPパリバ証券の岡沢恭弥株式・派生商品統括本部長は「リストラ効果で身軽になった日航がシェアを伸ばしていくという期待感から投資家の人気が高い」と分析した。
とはいえ、日航の再建の過程で公的資金の注入や巨額の債務免除を受けたことなどを踏まえ、逆風もある。自民党の一部から地方路線の再開を求められたほか、国交省も、競合他社との競争を阻害しないためのガイドライン(指針)策定を検討すると表明し、「利益の社会的還元」を要請した。
日航の植木社長は「路線ごとの採算性を十分に見極め、継続的に路線の見直しを行うことで、利便性の高いネットワークを構築する」と述べ、“柔軟で臨機応変な経営体制”を掲げる。国内路線も需要に応じて機材を小型化することで、収益性を向上させるつもりだ。
格安航空会社(LCC)などが参入し、激しさを増す空の競争や、他の交通機関との競争を制するとともに、社会的な利益還元という貢献も果たし、市場の評価の獲得を目指す。