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「反日」自動車部品にも“ブレーキ” 受注減り減産、材料輸入にも波及か
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沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国国内の反日感情が高まっている中で、その影響が自動車部品メーカーにも及んでいる。
日系自動車メーカーの9月の販売が軒並み大幅に落ち込んだが、それが取引先の部品納入減につながり、各社とも減産を余儀なくされている。中国からの材料輸入にも波及する恐れもあり、この状態が続けば業績圧迫材料ともなりそうだ。
曙ブレーキ工業は10日、中国・広州でのブレーキ生産を前月比で半減させたことを明らかにした。蘇州の工場も4割減となっている。同社は現地のほとんどの日系自動車メーカーと取引があるが、「今後については分からない」(担当者)と頭を抱える。中国から輸入している一部のブレーキ用原材料についても輸入ストップの懸念があるため、「代替品が可能かどうかの調査に入った」という。
サスペンションやペダルなど足回り部品を製造するエフテックは、先月からホンダの生産調整に合わせ、武漢工場での操業を昼夜2交代勤務から昼のみに短縮した。
今月の受注量は前月比で4~5割減り、11月以降の生産計画もまだ提示されていないという。豊田正雄常務執行役員は「深刻な状況だが、雇用は確保したい」と話す。
ベアリング大手のジェイテクトや日本精工も日系自動車向けの部品生産を減産。ジェイテクトは当面、在庫調整などでしのぐとしているが、担当者は「長引くと影響は出てくる」と不安を口にする。
アイシン精機は国慶節(建国記念日)以前からエンジン部品の生産レベルを落としている。カーナビゲーションシステムを現地生産するパイオニアは減産はしていないものの、昨年の大洪水でタイの主力工場が甚大な被害を受け、中国に生産を一部移管したばかり。中国工場の生産に支障が及べば、「どこで生産すればいいのか」と戸惑う。
自動車部品各社とも、納入先の自動車各社の動向をもとに生産計画を立てているが、現地の自動車販売への影響が読めない現状に、「従業員の配置転換や操業短縮をいつまで続ければいいのか」と頭を抱えている。