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中国事業の最悪期は脱したのか トヨタ工場一部ライン休止、日産販売店など再開

2012.10.17 05:00更新

 トヨタ自動車が中国最大の生産拠点である天津市の合弁工場の一部生産ラインを22日から5日間休止する方向で調整していることが16日、分かった。沖縄県・尖閣諸島の領有権をめぐる反日感情の高まりで、新車販売が低迷していることが要因。

 しかし、日産やホンダの販売店が通常営業を再開するなど、「最悪期は脱した」との見方もある。各社とも販売減による業績への影響は避けられない見通しだが、中国事業の長期的な投資計画を変更するまでには至らない可能性が高い。

 トヨタの天津工場は「カローラ」「クラウン」などの生産を手がけている。生産ライン3本のうち、「クラウン」などを手がける2本のラインを5日間停止。残る1ラインも2日間休止し、操業を週3日間に減らす計画だ。

 同社は「需要動向をみて、必要に応じ生産調整している。現在も減産局面に変わりはない」(関係者)としている。今後の販売動向次第では、生産規模を半減以下にすることも視野に入れており、短期的にはさらに生産が落ち込む可能性もある。

 一方で、日産の西川広人副社長は「展示会も再開するなど日々改善している。2カ月以内に正常に戻るのではないか」との見方を示す。ホンダも減産を続けているが、販売店は通常営業に戻っており、「トラブルは起こっていない」(広報部)としている。スズキも国慶節(建国記念日)連休明けの今月8日以降、「生産レベルは通常に戻した」(広報課)という。

 尖閣諸島をめぐり悪化した対日感情の影響について、メリルリンチ日本証券の中西孝樹リサーチアナリストは「楽観的で3カ月、悲観的にみれば6カ月の混迷が続く」とみており、中国に進出している日系自動車メーカーの今年度の最終利益の合計を5.6%押し下げると試算する。

 ただ、「混迷が続くことは中国政府も得策とは判断していない。長期的にみれば、現在の投資計画を維持する方針は無謀ではない」と分析した。

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