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カルビー“脱ポテト”推進 「ジャガイモ」のイメージ変えたい
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スーパーマーケットでも大展開しているカルビーの「ベジップス」=19日、東京都大田区
スナック菓子大手のカルビーが野菜チップス事業の強化に乗り出している。野菜を素揚げにした戦略商品「ベジップス」の売上高を5年後に100億円へと伸ばし、収益の柱の一つに育てたい考えだ。
10月から全国展開に踏み切っており、工場の新設も検討している。これまで強みとしてきたポテトスナックは若年層がメーンターゲットだが、少子化が進む中、健康志向のニーズに応じた商品を拡充して顧客層を広げていく。
ベジップスは「玉ねぎ かぼちゃ じゃがいも」と「さつまいもとかぼちゃ」の2種類。野菜を砂糖漬けにする一般的な野菜チップスとは異なり、野菜本来のうまみを引き出せる素揚げに成功したのが特長という。
1袋当たりの容量を「玉ねぎ」が26グラム、「さつまいも」は35グラムと抑え、カロリーはそれぞれ138キロカロリー、192キロカロリーと全部食べても200キロカロリーを超えないように工夫している。市場想定価格は145~148円
2010年3月に近畿の一部地域で試験販売したところ、野菜の自然な甘みやヘルシーさへの満足感などから40~50代の女性を中心に支持を集め、潜在ニーズを見込めると判断して販売エリアや取扱い店を拡大。さらに10月8日から全国展開を始めた。
売上高は10年の約2億3000万円から、11年には約12億3000万円へと約5倍に伸びており、12年はさらに2倍強の30億円を見込んでいる。さらに2種類を今後追加し、17年には100億円突破を目指す。
新工場の建設を視野に入れるとともに、米国でのテスト販売も実施するなど、将来的には海外展開も狙っている。
同社はジャガイモを使ったポテトスナックを強みとし、11年度の売上高1632億円のうち「ポテトチップス」「じゃがりこ」「じゃがビー」の3商品が6~7割を占めた。ただ、「じゃがりこ」の主なターゲットを女子高生に据えるなど、ポテト系は若年層が中心だけに少子化の影響は避けられない。このため、同社はベジップスの拡販で「『カルビーはジャガイモ』というイメージを変えていきたい」としている。(金谷かおり)