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“株式会社ガンダム”の発想 知財収益を最大化、仮面ライダーも躍進

ニュースカテゴリ:企業の経営

“株式会社ガンダム”の発想 知財収益を最大化、仮面ライダーも躍進

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「仮面ライダーウィザード」として魔物と戦う操真晴人を演じる白石隼也(左)と、ガンダム(右) 【フォーカス】バンダイナムコ(下)

 バンダイナムコホールディングス(HD)で、「仮面ライダー」のキャラクター収入がこの3年間で3倍に急伸した。数あるキャラクター資産の中でも古株の仮面ライダーに、看板の「機動戦士ガンダム」の収入の伸びをしのぐ勢いがよみがえった背景には、新たな商品化ルートを創出し、知的財産収入を最大化できる組織づくりを目指した経営改革がある。

 多彩なアイテム商品

 仮面ライダーのキャラクター商品の代表といえば、子供が身につける「変身ベルト」。このベルトが、「ごっこ遊び」のための玩具から、今や複数の遊びを楽しむための“キーステーション”に進化している。

 2009年放送の「仮面ライダーW(ダブル)」で、変身ベルトの仕組みを刷新。ベルトにコインやスイッチなどを差し込むことでライダーの変身パターンが変わる設定となり、これを機に新たな商品戦略が展開されたためだ。

 104億円から319億円に拡大

 ベルトに差し込むアイテムをゲーム機遊びのツールにも共通化、アイテムを菓子のおまけやカプセル玩具の「ガチャガチャ」にも商品化することで子供の遊び心をくすぐり、アイテム収集がブームになるなど新たな需要を創出した。

 アイテム人気はベルトの売れ行きを伸ばす相乗効果も生み出し、「W」で約54万個を記録したベルトの売り上げは、11年放送の新作「フォーゼ」では約80万個に急増。12年3月期の仮面ライダーのキャラクター収入は09年3月期の104億円から319億円に拡大し、同じ比較で微増のガンダムを伸び率で大きく上回った。

 バンダイナムコでは、経営統合当初、玩具やゲーム機など事業分野別で個々にキャラクターの商品戦略を考案していた。

 だが、現在はキャラクターごとにマネジメントの責任者を置き、事業分野の縦割りを排した柔軟な発想で、知財の収益化を追求する仕組みに改めた。

 バンダイナムコが見いだした活路

 「株式会社ガンダムという事業会社があるイメージ。一つのキャラクターから多重にコンテンツを展開していく」(石川祝男社長)経営スタイルで、仮面ライダービジネスの活性化はその成果というわけだ。

 HD傘下の事業会社のナムコが運営するアミューズメント施設のゲーム機とバンダイの玩具との連携、キャラクターのソーシャルゲーム、カードゲームやカプセル玩具をスマートフォン(高機能携帯電話)と連動して楽しむ遊び方の提案など。1つのキャラクターで多面的な収益源を獲得する効率経営は、少子化やデフレで縮む国内で収益基盤を維持するために、バンダイナムコが見いだした活路だ。

 中国生産リスク分散

 今年7月、フィリピンに17年ぶりとなる自社工場を建設する投資を決定したのも、効率経営のための体質強化の布石だ。

 現在、玩具の8割以上は海外の協力工場で生産している。だが主力委託先の中国では過去5年間の最低賃金の平均上昇率が12.5%にも達し、「このペースで上がると、利益確保が本当に困難になる」(バンダイの田口三昭副社長)状況という。

 タイでも人件費上昇

 直営工場のあるタイでも人件費が上昇し、デフレの国内やアジアの新興国の厳しい価格要求に対応するには新たな生産体制が課題となっていた。

 フィリピンは技術指導がしやすい英語圏で、日本と東南アジア市場の双方に距離が近いなどの利点があり、これを生かして生産供給の効率化や品質の向上を実現。13年夏の稼働後は徐々に中国の生産分をシフトし、3年間に約13億円のコスト削減を図る計画だ。(西村利也)

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