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KDDIvsソフトバンク 自慢、豪語…トップ2人の強烈なライバル意識

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KDDIvsソフトバンク 自慢、豪語…トップ2人の強烈なライバル意識

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 米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」発売を機に、KDDIとソフトバンク両社トップの“舌戦”が激しさを増している。話題は高速データ通信サービス「LTE」の人口カバー率や番号持ち運び制度(MNP)の流出状況、さらには互いの経営判断にまで及ぶ。2人はともに55歳。その発言からは、同い年で携帯電話事業を率いる相手に対する強烈なライバル意識が垣間見える。

 社長自ら確認 

 アイフォーン5の発売前日となる9月20日。KDDIの田中孝司社長は早朝5時に社員とJR山手線に乗り込んだ。

 人もまばらな車内で、田中社長がしきりに気にしていたのが電波監視装置のモニターだった。画面に表示されていたのはKDDIとソフトバンクが提供するLTEの受信状況。山手線を1周する間、ソフトバンクの受信状況が途切れ気味だったのに対し、KDDIはほとんどの区間で受信状況は良好だったという。

 「かなりよく(電波が)吹いていた」。田中社長は翌日の発売イベントで自慢げに胸を張った。

 携帯電話利用者向けの電波が逼迫(ひっぱく)している都市部でLTE基地局の設置が遅れていたソフトバンクと対照的に、電波に比較的余裕のあるKDDIは人口集中地域でLTE対応を積極的に推進。

 スマホをパソコンなどのモデムの代わりに使う「テザリング」でも先行した。田中社長はこうした優位性を「自分の目で確かめたかった」(KDDI関係者)のだという。

 両社の対抗意識は、ソフトバンクによる国内携帯4位のイー・アクセス買収でも鮮明になった。

 ソフトバンクが記者会見を開いたのは10月1日午後5時。これに先立つ同日昼過ぎ、KDDI広報部は報道各社に電話で「社長が社内向けの下期方針説明で、9月の携帯電話契約状況に触れ、MNPでソフトバンクからKDDIへの転入数が前月の3倍に増えたと話した」と説明した。

 さらわれた“油揚げ” 

 通常は月初めの5営業日目に発表する前月の携帯電話契約状況を一部とはいえ、1日に報道機関に“リーク”するのは異例。だが、それには裏があった。

 イー・アクセスについては、KDDIも買収を検討していたが、発表前日には社内で「ソフトバンクに決まった」との情報が流れた。ソフトバンクからの転入件数のリークは、「トンビに油揚げをさらわれた意趣返し」(KDDI社員)だった。

 ソフトバンクの孫正義社長もKDDIへのライバル意識を隠さない。報道陣の質問を受けて、KDDIに対するサービス、商品の優位性を強調することが増えた。15日の米スプリント・ネクステルの買収会見では、「KDDIは追い抜かした」と誇らしげに宣言した。

 2人がことあるごとに対抗心をあらわにするのは、単に同じ年齢で、アイフォーンの販売で激しく競争しているからだけではなさそうだ。あるKDDI関係者は「根っこは米国にある」と解説する。

 2人は若いとき、ともに米西海岸でベンチャースピリットに触れた。孫社長は16歳の時に米国に渡り、人脈を築きその後のソフトバンク創業につなげた。

 一方、京大大学院修了の田中社長は国際電信電話(現KDDI)に入社後の昭和59年に留学。新ビジネス立ち上げを目指したが、「英語、プログラミング、資金の3つのハンディキャップ」(田中社長)が足かせとなり、「能力がなく帰ってきた」(同)という。

 もっとも近いライバル

 雨後の竹の子のように学生が起業するシリコンバレーで挫折感を味わった田中社長はその後、通信事業一筋に取り組み、平成22年12月にKDDI社長に就任した。

 23年6月には創業間もないベンチャーや学生を対象に支援事業を始動。集まった若者に「一緒にグローバルで通用するインターネットサービスを作っていこう」と呼びかけた。

 ベンチャー経営者として一目置いていた孫社長が通信事業に参入し、いまや直接対決の様相を強めるにつけ、田中社長が並々ならぬ闘争心を抱いたのも不思議はない。「これからは世界市場で争う」と豪語する孫社長にとっても、KDDIはもっとも近くにいるライバル。否が応でも舌戦は熱を帯びる。

 アイフォーン5発売から1カ月あまり。この間、ソフトバンクはイー・アクセス買収を決め、国内の契約数で両社はほぼ並ぶ。

 一方、KDDIはタブレット型多機能端末「iPad mini(アイパッド・ミニ)」を手に入れた。商品、サービス、契約数…。両社のつばぜり合いが本格化するのはこれからだ。(芳賀由明)

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