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「CX-5」で活気づくマツダ本社工場 モノ造り革新と低燃費が両輪

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「CX-5」で活気づくマツダ本社工場 モノ造り革新と低燃費が両輪

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【ニッポン経済図鑑】

 本社工場のラインではガソリン用やディーゼル用など種類の異なるエンジンが混流され、組み上げられていく。新型SUV(スポーツ用多目的車)「CX-5」が1分に1台という速いペースで完成。車両倉庫に次々と運び込まれ、海外や国内に出荷する船積みを待つ。久々のヒット車となったCX-5の好調な売れ行きもあって、従業員の表情には充実感がにじみ出ている。

 マツダが取り組む「モノ造り革新」のキーワードは「共通化」(小飼雅道専務執行役員)だ。これまで新車の開発は「車種や車格ごとに最適に設計しモデルごとに作り直してきた」(小飼氏)。一般的な方法とはいえ、これでは販売台数の多寡にかかわらず新車の種類分だけ開発コストがかさむ。

 世界での生産台数が年間120万台と規模が小さいだけに、大手メーカーと同じような開発スタイルで収益を確保するのは厳しい。10年先までの新車計画や技術をにらみ、設計段階から部品や主要ユニットの共通化を進めるという手法で、コストを削減している。

 ジャストフィット コンベアシステム

 モノ造り革新に対応しているエンジンは小型車「デミオ」の1300ccガソリン、「アクセラ」の2000ccガソリン、CX-5の2200ccディーゼルの3種類。排気量や燃焼方式、構造は異なるものの形は似ており、精密加工に必要な「基準穴」なども共通となっている。

 これによって、エンジンブロックの加工と組み立ては同じ生産設備を使えるようになり、本社工場の組立ラインでの混流が実現した。今後投入されるエンジンもこのラインで生産できるため、コストを抑えられる。

 組み立て作業は、さまざまな工程で男性だけではなく女性も担当する。本社工場などで導入した「ジャストフィット コンベアシステム」は、人に合わせてラインの高さを変えることで、より楽な体勢で作業ができるように改善。姿勢を変えながら作業していた従来のラインよりも大幅に効率がアップしたという。

 また、1台分の組み立てに必要な部品を箱の中にそろえ、クルマと一緒にラインに供給する「キットサプライ方式」を採用。

 為替相場の円高に翻弄されている

 棚に手を伸ばして必要な部品を取るといった動きを省くことで「作業効率だけでなく、品質も高める効果を生んだ」(同社)。こうした生産方式の改革も加わり、「エンジンブロックの加工では設備投資を7割削減できた」(小飼氏)という。

 輸出比率が7割に上るマツダの経営は、為替相場の円高に翻弄されている。モノ造り革新によって、CX-5は「1ドル当たり77円、1ユーロ当たり100円でも利益が出るクルマ」に仕上がった。自動車産業は部品など裾野産業が広く、組み立てメーカーの影響は大きい。マツダは革新の対象を主要車種に順次広げ、低燃費技術「スカイアクティブ」との両輪で「国内生産を守る覚悟」(山内孝会長兼社長)だ。(平尾孝)

【用語解説】マツダ本社工場 広島県府中町と広島市南区にまたがり、テストコースや輸出港も備える。1931年3月から順次操業を始め、「CX-5」「プレマシー」「デミオ」など完成車の年間生産能力は計51万4800台。エンジン、変速機も製造している。敷地面積は東京ドーム約49個分の計223万6000平方メートル。

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