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女優・戸田恵子「売れないことを人のせいに…」 日本一多忙な芸能人(上)
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(大山実撮影)
抜群の存在感と表現力でテレビや映画、舞台に引っ張りだこ。声優の仕事でも知られる演技派女優が、5年ぶりにアルバム「ROUTE55」(キング)を発売した。走ることをやめず、挑戦を続ける55歳。その情熱の源泉とは-。(文・櫛田寿宏)
戸田 「役者さえやっていればいいよ」という人がいるかもしれませんが、チャンスを頂いたのですから頑張ろうと取り組みました。舞台と重なって、舞台の仕事が終わってから夜な夜なレコーディングしました。声の調子を気にしながらの録音でしたが、歌っているときは幸せでした。
音をつないで、みんなとああだこうだとやっていると、どんどん時間が過ぎていくんですが、不思議と少しも疲れないんです。こんな時間が持てるなんて、歌っていいなあと思いました。たとえばテレビドラマの撮影現場に音楽が流れるなんてことはありませんが、レコーディングのスタジオにはいつも音が流れていて、自分が音符の中にどっぷりつかっているイメージでした。
戸田 芝居は誰かとのコミュニケーションです。でも歌は個人の作業で、自分の世界観で3分間を作ります。だから自由度は高いですね。その歌が誰かの手元に届く。ほかの仕事とはちょっとイメージが違いますね。
戸田 5年前に50歳になった記念にアルバムを出しました。それから年に2回のライブを続けています。スケジュールは厳しいのですが、これだけは死守していこうと努めています。でもライブだと限られた人しか来られません。またCDが出せて、北海道の人にも九州の人にも手にとっていただけます。なかなかCDが出せない時代にこうして出せたことに感謝しています。それに、テレビに出演したりしたとき、ほかの出演者に「CDを出しました」といってプレゼントすることができるのもうれしいですね。
戸田 はい。出しただけで終わりにしたくはありません。せっかくチャンスを頂いたのですから。5年前のアルバムも、それなりに頑張っていいものを作り上げたと思うし、多くの人に聴いてもらおうと努力したのですが、何をどうしたらいいのか分からないまま時間が過ぎてしまいましたから。
戸田 子供だったので、コブシがたくさんある演歌ではないんですけどね。私はスカウトされてデビューしたので、歌手になりたいという気持ちがものすごく強かったというわけではありませんでした。でも、すぐ売れるんだろうと思って上京しました。当時は山口百恵さんの全盛期で、私もデビューすればすぐにああいうふうなスターになれるんだと思っていました。だから、歌手になりたくてなった人には申し訳ないようなデビューですよね。
戸田 売れている人を横目で見て、私には運がないのかなと思いました。そして何年かやっているうちに、売れないことを人のせいにしたり、事務所やレコード会社のせいにしたり…。そんな自分がいやになりました。努力しようという気持ちがなくなってしまって。10代の間ずっとそんなふうでした。今にして思うと、プロとしての意識が低かったのですね。
【プロフィル】戸田恵子
とだ・けいこ 昭和32年、愛知県生まれ。55歳。NHK名古屋放送児童劇団を経て49年にあゆ朱美の芸名で歌手デビュー。その後女優として活躍。出演作に映画「ラヂオの時間」「ステキな金縛り」ほか。アニメ「それいけ!アンパンマン」のアンパンマン役など声優としても活動している。