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日立、原発で一世一代の大勝負 リスク覚悟、自社製海外建設の勝算は?
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日立製作所の原発事業の売上高 日立製作所が、英国の原子力発電所事業会社「ホライズン」を買収し、原発の運営事業に乗り出す。東京電力福島第1原発事故で国内の原発着工が滞り、原発ビジネスのリスクが浮き彫りになる中、あえて海外の運営会社の経営権を握り、自社製原発を建設する「チケット」を手にした。
ただ、原発の建設費は膨大で、建設後も長期の運営コストが必要になる。リスクとリターンを分かち合うパートナーの存在が不可欠だが、今後の交渉次第では日立が背負い込むリスクが過大になりかねない。日立が打って出た一世一代の大勝負に勝算はあるのか。
ホライズンはドイツ電力大手のRWEとエーオンの2社が2009年に設立。しかし、ドイツ政府が「脱原発」の方針を表明したのを受け、2社は3月にホライズンを売却する方針を示した。これを知った日立にとっては、「渡りに船」だった。日立が原発事業を続けるには輸出の拡大が欠かせないからだ。9月28日に6億7000万ポンド(約850億円)の買収価格を提示、先月30日までに買収で合意した。
日立が原発事業の売上高の約半分に当たる巨費を投じて英社を買収した狙いは「発電所を建設する場を確保する」(羽生正治常務)ことだ。日立が扱う沸騰水型軽水炉(BWR)は事故を起こした福島第1原発と同じ炉型。事故前から加圧水型軽水炉(PWR)に比べ劣勢だったが、事故の後は、さらに厳しい競争環境にさらされている。
日立は、11月中にホライズンの全株式取得後、同社の計画を引き継ぎ、英国の2カ所で130万キロワット級の原発を計4~6基建設する。計画では、日立製のBWRを納めることを決めた後で、原発運営にノウハウを持つ電力会社からの出資を募り、数年後に日立の出資比率を10%前後に下げてリスクを減らす。
日立は、20年度の原発事業の売上高を12年度見通しと比べ2.5倍の3600億円に引き上げ、このうち半分を海外で稼ぐ青写真を描いている。ただ、日立が海外で原発を受注した実績はまだない。受注がほぼ内定していたリトアニアでさえ、10月に行われた国民投票で建設反対が6割超を占め、事業の先行きが不透明になっている。
原発関連事業で合計6000人の人員を抱える日立は「新設が難しいとなれば、別の分野に人員を振り向けるしかない」(中村豊明副社長)状況だっただけに、英社買収は嫌な流れを反転させる逆転打だった。
英国で最大6基の建設が決まれば、BWRのシェアの底上げに貢献するだけでなく、世界トップレベルにある技術の蓄積の場も得られる。現在、世界では54基の原発の新設計画が動いており、日立は英国に続き、他の国でも原発事業会社への出資を検討し、建設場所を確保する構えだ。
これに対して、国内ライバルメーカーは、いずれも原発の運営に対して慎重だ。三菱重工業の佃嘉章副社長は「非常に難しい挑戦」といい、運営事業への参入に否定的。東芝の幹部も「当社にも5、6の運営会社の買収案件が入っているが、出資する方向にない」と明かす。
原発を運営するには、40年に及ぶ保守管理業務があるうえ、事故などのリスクも伴う。スタンダード&プアーズの柴田宏樹主席アナリストは「経験のない海外での建設はスケジュール管理が想像以上に難しく、想定以上にコストが膨らむ可能性もある」という。日立の“賭け”の行方は、原発ビジネスや重電業界の勢力図を塗り替える衝撃力を持っている。(今井裕治)