SankeiBiz ニュース詳細(ライト版)

PC版

投資ファンド「出口戦略」加速 関連M&A、最多の74件

2012.12.15 07:00更新

投資会社の売却によるM&A件数

 買収した企業の株を売却して利益を得る投資ファンドの「出口戦略」が加速している。今年のファンドによる日本企業売却に伴うM&A(企業の合併・買収)は74件に達し、過去最高を更新。買収企業をIPO(新規株式公開)させ、市場で株を売却するケースも目立つ。14日には米ファンドの傘下で経営改革を進めていた外食のチムニーが東証2部に再上場した。戦略加速の背景には、ファンドによるM&Aが盛んだった時期から5年以上が経ち、投資回収時期を迎えていることがあるようだ。

 M&A助言のレコフによると、今月13日現在で、ファンドやベンチャーキャピタルなど投資会社の売却に伴うM&A件数は統計のある2000年以降で最高だった11年(72件)を上回った。

 主な案件には、日本や香港を拠点とするファンド、ロングリーチグループの売却による三井倉庫の三洋電機ロジスティクス買収や、ユニゾン・キャピタル(日本)が回転寿司のあきんどスシローを英ファンドのペルミラに売却したケースなどがある。

 焼き肉チェーン「牛角」を展開するレックス・ホールディングスは06年のMBO(経営陣による自社買収)で非上場化。出資した日系ファンド傘下だったが今年、居酒屋「甘太郎」などを運営するコロワイドに買収された。債務の株式化で株を取得したため、集計には含まれない。

 対象が海外企業のケースも含めると、電通の英広告会社イージスグループ買収や、丸紅の米穀物大手ガビロン買収も、ファンドが売却したことによるもので、出口戦略は世界的に活発化しているといえる。

 レコフの沢田英之リサーチ部長は「投資会社の買収が盛んだったのは05~07年。世界経済の状況が不透明な中、利益確保を目指す動きが強まっている」と指摘する。

 株式相場の低迷でIPOが実施しにくかったことも、関連M&A増加の要因とみられるが、足元ではIPOに伴う売却も目立ってきた。

 MBOで10年4月に非上場化したチムニーについては、米カーライル・グループは約3年後の再上場に伴い、保有株の一部を売却した。

 投資ファンドが買収した企業を売却して利益を出すには、企業価値を上げることが必要。カーライルは役員を派遣し、執行役員の役割の明確化などの組織改革や業態の多様化を進めた。チムニーの和泉学社長は14日の上場会見で「自由な立ち位置になり、カーライルとともに改革を進められた」と振り返った。

  • シェア