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三菱自動車、再び業績悪化の懸念 リコール問題で立ち入り検査

2012.12.26 06:55更新

三菱自動車本社に入る国交省の担当者=2012年12月25日、東京都港区

 三菱自動車がリコールに消極的だったとして厳重注意した国土交通省は25日、改善への取り組み状況を確認するため、東京都港区の同社本社や愛知県岡崎市の同社品質統括本部などに道路運送車両法に基づく立ち入り検査を実施した。同社は2000年にも大規模なリコール隠しが発覚、道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で元副社長が逮捕された経緯があるだけに、今回のリコール問題が長引けば再び経営不振となる恐れもある。

 同社は一連の経緯や改善策に関する社内調査結果を報告書にまとめ、19日に提出済み。国交省は今回、異例の立ち入り検査で改善がどのように進んでいるかを調べ、他に問題があればさらに指導する。

 三菱自は、三菱商事出身の益子修氏が05年1月に社長に就任し、環境対応車と新興国販売戦略の強化を軸に業績回復を図ってきた。ここ3年間は最終黒字を計上し、それが軌道に乗ってきたともいえる。

 ただ、懸念材料は株価の一層の低迷だ。25日の終値も82円と100円割れが続いているが、さらなる下押し圧力となるのが04年から06年にかけて累積損失約7000億円の解消を目的に三菱グループを中心に発行した優先株の行方だ。

 すでに今年8~12月にかけて優先株を普通株に転換する動きが出ているが、さらに転換が進めば普通株発行数が増え、需給バランスが崩れる可能性も大きい。そうなれば設備投資のための資金調達が困難になることも予想される。

 優先株が普通株に強制転換される期限となる14年6月までに残された期間は約1年半だ。

 何より、不誠実な開示姿勢を示せば消費者の不信が高まり、前回のリコール隠しのときと同様、販売への影響も出てくると予想されるため、できる限り早期に収束させる必要がある。

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