自動車各社、メキシコ進出を加速 「地の利」生かす車両輸出拠点
2013.1.10 07:45更新
国内大手自動車各社がメキシコを車両生産・輸出の一大拠点として増強する。日産自動車、ホンダ、マツダの3社が相次いで新工場を稼働させる計画を打ち出しており、3社合計の増産規模(年間の能力ベース)は、2015年度で約60万台以上に達する見込み。
主要市場の北米や欧州に加え、成長が期待される南米の新興国にも近い「地の利」と、「FTA(自由貿易協定)も進んでいる」(野村証券の桾本(くぬぎもと)将隆エグゼクティブ・ディレクター)利点が各社のメキシコ投資意欲を高めている。
14年3月までにメキシコ中部のグアナファト州に初のメキシコ工場を稼働させるマツダはこのほど、同工場の生産能力を当初計画の年産14万台から23万台に引き上げた。独自の低燃費技術「スカイアクティブ」搭載車の需要が欧米で高まっていることに加え、「デミオ(マツダ2」をベースにトヨタ自動車の北米向け小型車を生産することが決まったからだ。
また、ホンダは14年春に同国2拠点目となる新工場で主力小型車「フィット」を生産し、北米向けなどの輸出を強化。日系メーカーの中ではメキシコ生産で先行している日産自動車は、3拠点目の新工場を14年中に稼働させ、年産約60万台の現在の生産規模を17万5000台上積み。その後も、増強投資を続け将来は年産100万台態勢を構築し、110カ国以上に輸出先を拡大する計画だ。
メキシコの11年の自動車生産台数は255万台で世界8位。そのうち輸出は214万台で、いずれも過去最高を記録した。
ただ、主要な輸出先のブラジルが、国内産業保護のために自動車輸入規制を強化し、メキシコ政府が昨年、ブラジル向け乗用車輸出額を制限する時限的措置を15年3月まで実施すると発表。「12年のブラジル向け輸出は金額ベースで前年比3割減になる」(ホンダ)などの影響が出ている。日系各社は北米向けが堅調なため増産計画を維持するが、今後の投資では新興国の保護政策が懸念材料となりそうだ。(古川有希)