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レッツノートファンをいい意味で裏切る パナ「AX2シリーズ」開発秘話

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レッツノートファンをいい意味で裏切る パナ「AX2シリーズ」開発秘話

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「軽量・薄型・頑丈・洗練」を同時に実現した秘密は、この天板の裏にある  頑丈で軽いパソコンとして、ビジネスの現場で支持されているパナソニックのレッツノートに、マイクロソフトの新しい基本ソフト(OS)ウィンドウズ8を搭載した「ウルトラブック」仕様の新製品が誕生した。AX2シリーズは、360度回転するリングノート式ディスプレーを搭載、ノートパソコンとタブレットの1台2役をこなす。

 「レッツノートファンの期待をいい意味で裏切る、斬新で洗練されたモバイルパソコンに仕上がった」。テクノロジーセンターハード設計第1チームの星野央行主任技師は胸を張る。

 レッツノートは、モバイルパソコン(12・9インチ以下のミニノートを除くノートパソコン)市場で、平成16年度から23年度までシェアトップを誇る息の長いヒット商品シリーズだ。ビジネスで思う存分力を発揮できるモバイルパソコンを追求、法人向け市場で圧倒的な強さを発揮する。「ビジネス現場に出向き、要望に耳を傾け、改良を重ねてきた」(星野氏)ことが、強さの源になっているという。

 AX2シリーズは「軽量」、省電力設計と高性能バッテリーを搭載した「長時間使用」「頑丈設計」、高性能CPU(中央演算処理装置)搭載による「優れた使い勝手」というレッツノートの基本コンセプトは変えずに、新たに「洗練」というキーワードを加えた。

 この言葉は、米アップルのヒット商品「iPad(アイパッド)」を代表とするタブレット型の商品を意識した。市場開発グループ商品企画チームの井上剛志レッツノート担当総括参事は「相反する機能をバランス良く組み込むことに、多くの労力を費やした」と振り返る。

 「タブレットは、できあがったコンテンツを見たり、負荷の低い作業に使う『ビューワー・ワーク』に適しているが、文章を作ったり、負荷の高い作業に使う『クリエーティブ・ワーク』には適していない」と井上氏。レッツノートは、ビジネスパソコンへのこだわりを捨て去ることはできず、両立を追求した。

 インテルが23年に提唱した薄型軽量のノートパソコンのカテゴリーである「ウルトラブック」をめぐっては、パソコンメーカー各社が開発にしのぎを削っていた。そのコンセプトも、「タブレット機能をどう表現するか」に焦点が当たっており、キーボードとディスプレーをスライドさせるなど、各社がさまざまな工夫を凝らしている。

 開発チームが導き出した回答は、360度回転するリングノート式ディスプレーだ。商品開発の会議中に、メンバーの持っていたリング式ノートがヒントになった。パソコンとタブレットの2役をこなすが、「立ったまま簡単に切り替えられること」が、ビジネスパーソンの要望にあったことも、この形状を採用する後押しになった。

 このスタイルを実現したのは、水平2軸のヒンジ(ちょうつがい)を協力メーカーと開発したことと、薄くて頑丈な天板の素材を開発したことにある。このうち、天板素材の開発を担当したテクノロジーセンター機構設計チームの松山吉成氏は「やり遂げたときの達成感よりも、重圧や苦労の方が印象に残っている」と振り返る。

 これまでのレッツノートは、天板の外側に凸凹を設け、強度を補強していた。AX2シリーズでは、この凹凸が、天板を360度ひっくり返したときに邪魔になる。天板の凸凹が大きければ、リング式ノートの構造そのものをあきらめなければならない。

 「内側に工夫をして硬度を高めよう」と松山氏は考えたが、最適な構造を見つけ出すのは困難を極めた。ヒントになったのは、ギリシャの神殿など長期間形を維持している歴史的な建造物だった。40~50回ものシミュレーションを繰り返し、「ようやく最も強い構造にたどり着いた」という。

 具体的には、外側への出っ張りは過去最薄の0・5ミリに抑える一方で、その出っ張りの裏側に階段状の補強構造を設けた。さらに、補強部分を神殿の柱の模様のように波打たせることで、面の強度も高めた。

 もうひとつ、AX2シリーズの開発でこだわったのが、電源を切らずにバッテリーを交換できるウルトラブック初の「ホットスワップ機能」だ。内蔵バッテリーを生かして、本体の電源をONにしたままバッテリーパックを交換できるため、補助バッテリーを使えば約16時間の連続使用が可能になる。

 「AX2シリーズが成功したかどうかを測るバロメーターは、『次はこうしてほしい』という要望がどれだけ寄せられるかだ」と星野氏はいう。ユーザーの声を反映し、さらなる進化を目指す開発姿勢は今後も受け継がれる。

(小島清利)

レッツノート AX2シリーズ パナソニックが、モバイルパソコン「レッツノート」の平成24年秋冬モデルとして発売した。レッツノートとしては初めて、インテルのウルトラブック規格で設計した。メモリーは4ギガバイト、質量は約1.14キログラム(平均値)。オープン価格だが、店頭想定価格は16万~25万円程度。生産台数は、シリーズ全体として38万台。

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