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損保系生保 基盤の強み 既存客・代理店網活用、本業と相乗効果

ニュースカテゴリ:企業の金融

損保系生保 基盤の強み 既存客・代理店網活用、本業と相乗効果

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損保系生保の新契約高  少子高齢化で頭打ち傾向にある国内の生命保険市場で、大手損害保険会社の生保事業が健闘している。

 2012年9月中間期の新契約高(個人保険と個人年金保険の合計数値)は、3大損保グループのMS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)と東京海上HD、NKSJHDのそれぞれの傘下生保会社の単純合算で、前年同期比6.5%増と拡大した。本業の損保の顧客基盤や代理店網を活用し、生保商品を販売する「生損保一体」の取り組みが強さの源泉だ。

 ついでに売り込み

 「この際、ご加入の生命保険も見直してみませんか」

 昨年の師走、東京都内にある損害保険ジャパンの代理店。火災保険の説明を聞きに訪れた若い夫婦に、担当者がこう提案した。損保ジャパンと同じNKSJ傘下にはNKSJひまわり生命保険があり、死亡保険の一種で、世帯主が亡くなったときに遺族が保険金を毎月の給料のように受け取れる収入保障保険を販売している。担当者は事務所の端末で、夫に万が一の事態が起きた場合に必要な保障額を計算し、夫婦が加入している生保商品と比べるよう促した。夫婦は後日、契約を決めた。

 損保会社からの委託を受けて損保商品に関する説明や契約締結を行う代理店は、自動車販売店や金融機関を中心に全国に広がる。火災保険や自動車保険の加入者が契約更新で代理店に来たときに、生保商品を売り込める利点は大きい。

 生保の営業は厳しい。ある損保系生保の幹部は「最も労力を要するのは新たな顧客を見つけること。1人の顧客に生保商品を提案した場合、あと3人くらいの紹介をもらわないと、後の販売が続かなくなる」と話す。それだけに、損保市場という既存の地盤は、大手生保や外資系生保にはない強力な武器だ。

 伸びる新契約高

 保険業法改正による規制緩和で、損保と生保が子会社を通じて相互参入できるようになったのは1996年。以来16年余りが過ぎ、損保系生保の存在感は生保業界で着実に高まっている。

 3大損保グループ傘下の生保会社の保険料等収入は、12年9月中間期に単純合算で前年同期に比べ約2割増えた。MS&AD系の三井住友海上あいおい生命保険は12年9月中間決算で新契約高が1兆8283億円と、国内で展開する生保会社43社の中で7位に躍進。12年3月期は10位で、初の1桁入りを果たした。

 得意分野は3大損保グループで微妙に異なる。三井住友海上あいおい生命の場合、収入保障保険が「一番の売れ筋」(担当者)。一般的なタイプに加え、給付範囲の広い総合収入保障保険の販売にも注力しており、12年4~9月の新規販売件数は前年同期比でそれぞれ2.6倍、1.4倍に大きく拡大した。

 NKSJひまわり生命が08年8月に売り出した医療保険「健康のお守り」は、通院によるがん治療でも保険金が支払われる特約を追加で設けたことなどが奏功し、累計販売件数が12年度中に100万件を超える勢い。一方、東京海上系の東京海上日動あんしん生命保険は「死亡保険や医療保険、企業が加入する事業保険をバランス良く販売しているのが特徴」(同社)だ。

 特色ある商品づくり 業容拡大のカギ

 3大損保グループがこぞって生保事業を強化するのは「生保事業を安定的な収益源に育てれば、グループ全体のリスク分散につながる」(大手損保役員)とのもくろみがあるためだ。本業の損保は、地震や洪水などの大きな自然災害の発生が重なると、保険金支払いが急増し業績が大きく下押しされる恐れがある。また、主力の自動車保険は不振が続き、収益改善には時間を要するからだ。

 躍進する損保系生保だが、もう一段の成長を狙うには、頼みの綱である損保事業の顧客基盤や代理店網で生保の需要をもっと掘り起こす必要がある。

 NKSJひまわり生命の場合、損保の顧客に生保商品を販売する併売率は現状で7%弱にとどまる。松崎敏夫社長は「デフレ経済が長引く中、今入っている保険を見直そうというニーズにどうアクセスし、取り込むかが重要」と強調。併売率を「今後5年程度で10%以上に引き上げたい」と語るが、達成には代理店を生保の販売強化に巻き込む地道な取り組みが欠かせない。

 商品開発力の向上も課題だ。東京海上日動あんしん生命は損保のノウハウを活用し、がんや脳卒中などで働けなくなった場合でも定期的に生活費を確保できる特約を医療保険や死亡保険向けに導入した。「死亡保険の場合、付帯率は5割弱と、想定を上回っている」(同社)という。

 人気商品はすぐに追随される差別化の難しい市場にあって、こうした損保系らしい特色のある商品をどう生み出していくかも業容拡大の鍵となる。(森田晶宏)

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