SankeiBiz for mobile

低価格で広まるタブレット端末 「0円」時代突入の可能性もある?

ニュースカテゴリ:企業の電機

低価格で広まるタブレット端末 「0円」時代突入の可能性もある?

更新

タブレット端末とノートパソコンの世界出荷台数  通勤電車の車内や街中、勤め先、教室などで、片手に持ったディスプレーを指で操る姿を目にする機会が増えた。「タブレット端末」と呼ばれる新しい情報端末だ。パソコンより手軽に扱えることから、急速に普及している。いったいどんな魅力があるのか。(是永桂一)

 タブレット端末は、スマートフォン(高機能携帯電話)とノートパソコンの間の大きさで、画面サイズが7~10インチ程度の薄型通信端末の総称だ。タブレットとは英語で持ち運べる「錠剤」や「小さな板」のことで、まさに見た目通りに名付けられたといえる。

 キーボードがなく、画面に指などで触って操作するのが一般的で、電子メールやウェブサイトを閲覧できるほか、動画や音楽、電子書籍などを取り込んで楽しめる。パソコン並みの性能で写真や動画の撮影もできるうえ、どこでも持ち運べる手軽さを併せ持つ。ニュースや地図、ゲームなど豊富なアプリケーション(応用ソフト)が用意されているのは、スマホと同等だ。

 電源を入れてから画面が立ち上がる起動の速さも売りで、連続して使用できる時間もパソコンより長い。そのためノートパソコンに代わり、社内会議のほか、営業、販売といったビジネスの現場で重宝されている。医療や教育現場での活用も進む。

 タブレット端末の市場は、2010年の米アップル「iPad(アイパッド)」の登場で火がつき、ほぼ市場を独占した。

 現在は画面サイズがスマホよりやや大きく、男性用スーツの胸裏ポケットにも収まる7インチクラスの「小型タブレット」が人気で、昨年、相次いで発売された。

 高いブランド力に強みを持つアップルが昨年11月に「iPad mini(アイパッド・ミニ)」(2万8800円~)を投入し、米グーグルやアマゾン・コムといったインターネットサービス大手が、低価格製品で対抗した。グーグルの「ネクサス7」は1万9800円、「キンドル・ファイア」は1万2800円からだ。

 アマゾンはネット通販で世界最大手、グーグルはネット広告でやはり世界最大手で、従来パソコンを作っていたメーカーではない。ネット利用者がパソコンからスマホやタブレットに急速に移行するなか、自社のタブレット端末を赤字覚悟の低価格で普及させ、それぞれのネットサービスに誘導する戦略だ。

 こうした低価格端末の登場が急速な普及を後押しした。日本でも米国勢の低価格端末が最も売れている。

 日本メーカーのタブレット端末は、性能は同じで価格が高く、販売状況は厳しい。NTTドコモが、9975円というキャンペーン価格のタブレット端末を3月下旬に発売するが、これも中国製。安くできる理由は、米国勢と同じで、ドコモのネットサービスの利用者を囲い込むためだ。

 携帯電話のように端末価格「0円」が一般的になり、一人一台の日が来るのも近いかもしれない。

 ノートパソコンを凌駕

 米調査会社ガートナーによると、2014年の世界のタブレット端末の出荷台数は2億6千万台に達し、2億2千万台のノートパソコンを初めて追い抜く見通しだ。別の米調査会社NPDディスプレイサーチの調べでは、今年にもノートパソコンを逆転すると予想している。

 国内でも、米アップルのiPad(アイパッド)の昨年12月の販売台数が、前年同月比で約2・8倍になる右肩上がりの成長が続く。アマゾンやグーグルの製品も急速にシェアを伸ばしているとみられる。

 タブレット端末の普及は流通のあり方を一変させる可能性も秘めている。

 流通各社は、消費者が、洋服のサイズや家電の性能などを店舗で確かめ、タブレット端末からアマゾンなどのネット通販で安く購入する「ショールーミング」の動きが拡大するのを懸念している。

ランキング