SankeiBiz ニュース詳細(ライト版)

PC版

レジ袋有料化でスーパー二極化 中小は慎重姿勢「客離れ招きかねない」

2013.2.14 08:10更新

レジ袋を有料化しているイトーヨーカ堂の店舗=東京都武蔵野市

 スーパーのレジ袋有料化をめぐり、大手と中小の二極化が鮮明になってきた。イトーヨーカ堂が今月から、食品を扱う175店舗で1枚2円の有料化に踏み切った。

 昨年7月には西友も有料化したほか、イオンも有料化店舗を拡大している。ただ、中小では「客離れを招きかねない」として無料配布を続けるところが多く、なかには有料化後に販売が落ち込み無料配布に戻した例もある。

 有料化の目的は環境保全の観点からプラスチック製品の削減を目指すもので、自治体から要請も受けているが、中小はなかなか踏み切れないのが実情だ。

 2007年から46店舗でレジ袋を有料化していたヨーカ堂は今月4日、格安店「ザ・プライス」を含む175店舗に拡大した。新たに加わった129店舗はレジ袋を辞退した来店客に2円値引きしていたが、有料化へと一歩進めた。全買い物客のうち、レジ袋を受け取らない人の割合「辞退率」を、現状の約4割から7~8割に引き上げる計画だ。

 07年に大手スーパーで初めて一部店舗で有料化に踏み切ったイオングループは、今年度中に1000店舗に拡大する。ユニー、ダイエーも有料化した店舗数を増やす。

 一方、中小スーパーの動きは鈍い。「なぜ無料にしないのかと顧客のクレームも多く、行政の十分な後押しがなければ難しい」と話すのは、首都圏で131店を展開する「いなげや」の担当者。

 有料化は時期尚早として、現在は条例で有料化が定められている東京都杉並区と日野市の5店舗を除いて無料としており、レジ袋辞退客には値引きサービスで対応する。

 首都圏に104店を営業する「サミット」は08年7月、埼玉県川口市の呼びかけに応じ市内店舗でレジ袋を有料化したが、販売減に歯止めがかからず、翌年3月に打ち切った。

 無料配布を続けるスーパーに客足が流れたためだ。「条例によって有料化しても、条例がない隣町の競合店に客を奪われかねない。国ベースの取り組みがなければ有料化は難しい」と、サミットの広報担当者はため息をつく。

 日本チェーンストア協会の調べによると、02年9月に約8%だったレジ袋の辞退率は、ここ10年間で約42%(昨年10月時点)まで上がった。

 ただ、同協会会員企業の間の温度差は大きく、「自治体の状況も踏まえ可能な地域から自主的に取り組む」として、協会として有料化を積極的に推進する立場は取っていない。(山沢義徳)

  • シェア