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「大礼服マーク」若返りに隠された秘策とは!? 森下仁丹、商標一新の理由
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会社の“中身”も若返り-。創業120周年を機に黒ひげ姿でおなじみの商標ロゴ「大礼服マーク」を一新した森下仁丹。
かつてのいかめしい姿から、イケメン風に大変身した理由を探ると、オジサンのシンボルだった口中清涼剤「仁丹」を中心とする旧来の業態から、先端技術メーカーへと転換を図る同社の戦略が垣間見える。
森下仁丹は、胃を通過し腸で溶ける独自のカプセルを利用し、口から飲むワクチンの技術を神戸大大学院と共同で開発。今月20日、同技術の特許を、取得したと発表した。
注射より簡単にワクチンが投与でき、アジアやアフリカなどで多く発生する腸チフスや赤痢、コレラなどの感染症予防に役立つという。
同技術は、ビフィズス菌などをカプセルに包んでワクチンとして活用する仕組み。カギとなるカプセル技術は、「仁丹」の銀粒のコーティング技法をもとに開発されたものだ。
同様に大阪府立大学とは、カプセル内部の微生物に金属イオンを吸収させ、レアメタル(希少金属)を回収する技術も開発。現在は実用化に向けた研究を進めているという。
こうした先端技術の開発とロゴマークの関係について、同社の駒村純一社長は「歴史や伝統を守りながらも新たな分野に挑戦する姿勢をアピールする」と、刷新の狙いを説明する。
ヒゲの紳士を描いた大礼服マークは「仁丹」が発売された明治38(1905)年から使用。時代に合わせて5回のモデルチェンジを行ったが、一貫して同社商品のシンボルだった。
だが、新ロゴでは目尻のしわをなくし、微笑を浮かべたソフトな表情に変身。あわせて「森下仁丹」の社名も併記し、企業ブランドを高めるコーポレート・アイデンティティー(CI)の機能も持たせた。
成熟商品だけでなく、先端技術分野での多角化により若返りを図る同社の事業戦略の象徴でもある。
駒村社長は「先代は50歳代に見えていたが、新ロゴは30歳代くらいに若返ったでしょう」と、新生・森下仁丹をアピールした。