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スズキ、軽シェア奪還へ反撃 「スペーシア」で弱点克服、さらに秘策も

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スズキ、軽シェア奪還へ反撃 「スペーシア」で弱点克服、さらに秘策も

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軽自動車のメーカー別シェア(1~2月)  軽自動車の販売シェア3割の奪還を目指すスズキが、背高ワゴンと燃費に特化したセダンという弱点分野に新型車を投入、反撃に動いた。

 この分野での商品戦略の甘さが、長年守ってきたシェア3割を昨年割り込む事態へ導いたとの反省があるからだ。ライバルのダイハツ工業に対する追撃態勢を整えるが、背後からは「N BOX」などヒットを飛ばし、2強の牙城を崩しにかかるホンダが迫る。混戦の軽市場を制するには、弱点分野の克服は待ったなしだ。

 子育て女性に照準

 「昨年のシェアが30%を切った。年度では30%を超える見通しだが、今年は年度でも暦年でも30%を確保したい」

 スズキの鈴木修会長兼社長は、新型軽自動車「スペーシア」の発表会見で、19年ぶりに3割を下回ったシェア挽回に並々ならぬ意欲をみせた。田村実副社長は、鈴木会長の発言の真意を「顧客数も着実に増えている。シェア回復は単に意地の部分」と解説するが、今回のスペーシアにシェア挽回の一役を担わせることは明白だ。

 実際、15日に発売する背高ワゴン「スペーシア」に対する社内の期待は大きい。全高1.7メートル超の「スーパーハイトワゴン」クラスでは、ダイハツ工業の「タント」、ホンダ「N BOX」が強い。

 スズキは機能、販売面ともまったく歯が立たなかったが、今回、ガソリン1リットル当たりの燃費性能は29キロ、室内長が2.215メートルと、いずれも同クラス最高を達成。

 しかも、メーンターゲットの子育て女性から利用状況を聞き取り調査する徹底ぶりで、「子供を抱いた際に両手が塞がっていても、ボタンひとつでスライドドアが開閉でき、ボックスティッシュ専用のスペースを作るなどの工夫も凝らした」(熊谷義彦・四輪技術本部第一カーライン長)と胸を張る自信作だ。

 このスペーシアの目標販売台数は月7000台。2月単月で2万2000台を販売するホンダ「N BOX」、ダイハツ「タント」の1万3000台には及ばないが、額面通り受け取るライバルはいない。「必ず1.5倍増しを超える台数で販売を合わせてくる」(軽自動車大手幹部)と警戒感は高まっている。

 一気に販売上積み

 スズキの巻き返しの秘策は、もうひとつある。

 4日に発売した軽セダン「アルトエコ」だ。1リットル当たり33キロとガソリン車トップの燃費効率を達成。これまでも30.2キロとトップを誇っていたが、「ミラ イース」との差は0.2キロしかなかった。しかも、価格が高いこともあって、販売面で6~7倍差がつくなど、苦戦を強いられてきた。今回、一気に1割の燃費差をつけたことで、ダイハツへの追撃態勢が整うこととなり、販売面に与える効果は大きいとみている。

 同社は、アルトエコ単体の目標台数は公表していないが、現在は約3000台程度とみられており、今回のハイブリッド車(HV)並みの燃費効率を誇るアルトエコの投入で、一気に販売の上積みを目指すもようだ。

 スズキは、3月発売のこの2車種を新たにラインアップに加え、「エースで4番」の看板車種「ワゴンR」で台数を稼ぐというのが、今年の戦略だ。

 1~2月のシェアは28.5%と依然として目標の30%には達していないが、2車種の注目度も高まっており、鈴木会長は「今年度のシェア30%は確保できる」と自信をみせる。

 ただ、この戦略がスズキの思惑通りに進むかどうかについては、疑問の声もある。

 商品力や燃費以外に新たな価値観必要

 「スペーシア」「アルトエコ」とも、販売で先行する2社の機能や性能面を「半周遅れ」(鈴木会長)で追い越しただけで、新機軸を新たに打ち出したわけではない。防戦一方の後手の開発ともいえる。

 ある証券アナリストも「(1993年に)室内の狭さを、背を高く取ることで克服した『ワゴンR』を出したころの攻めの姿勢がない。商品力はあるが、魅力は乏しい。今回のスペーシアは“三番煎じ”」と手厳しい。

 特に、燃費性能に関しては、「軽=低燃費」とのイメージが消費者に浸透しており、燃費ナンバーワンが最大の武器とはならない可能性も高い。

 それでも鈴木会長は「やっぱり燃費。きょう29キロを達成したからといって安心はできない。翌日から次の改善を目指す」と、こだわりをみせる。

 これに対し、ライバルのダイハツは、衝突をレーダーで感知して未然に防ぐ、自動ブレーキシステムを昨年末発売した「ムーヴ」に初搭載し、消費者に新たな価値観を提案する。「女性や高齢者の利用が多い軽だからこそ必要」(伊奈功一社長)として、「ミラ」や「タント」など全車種への搭載も見据える。

 スズキの商品力は誰もが認めるが、再び販売シェアトップを射程にとらえるには、燃費性能に加え、ライバルも驚く新しい価値観を生み出すことが求められている。(飯田耕司)

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