三菱電機、環境・エネ技術開発を加速 電力を効率よく使う
2013.3.16 18:02更新
三菱電機が環境・エネルギー関連分野の技術開発を加速している。特に力を入れているのは、電力を効率よく使う仕組みの提案だ。成長分野のひとつと位置づけ、収益源として育てていく。
地震や台風など大規模災害による停電への対応策として、同社は2月、数十~数百軒規模のコミュニティー向けに、太陽光発電と蓄電池を活用して電力を1週間以上、自給自足する「コミュニティー向け電力自立運転管理システム」を開発したと発表した。2015年度の製品化を目指しており、自治体や新規の宅地造成を計画している開発業者に売り込む。海外の電力インフラの弱い地域での展開も検討している。
電力会社の電線や配電設備と連携して、周辺系統の安全性や停電予想時間、自立運転による他地域への影響を考えながら自立運転の可否を判断する。一方で、電力会社からの許可を受けてから電池を起動し、停電発生時から約20分以内に自立運転に入る。
これまでは安全性確保や系統の切り替えがネックとなり、電力会社の管理下にある電力系統を使った電力自立運転はできなかった。このため、大型発電設備を用意するか、短期の自立運転に限られていた。
システムの開発により、太陽光発電の出力を抑えたり、優先度の低い電気機器の使用を停止させたりしながら必要に応じて電力使用量を自動調整。1週間以上の電力の自給自足を可能にした。
電力需給の安定化につながる技術では、節電への対価を支払うことで電力使用のピークを削減する「デマンドレスポンス」に対応した電力需給制御技術を開発した。電力需給が逼迫(ひつぱく)したときに、電力消費を抑えたい電力事業者側と、節電の見返りを得たい大規模電力消費者側の双方にメリットをもたらすのがポイントだ。
ビルや工場ごとに異なる節電可能量と希望する節電対価から、全体の節電量と節電対価を予測し、各電力消費者に必要節電量を配分する。季節や時間帯によって変化する発電コストや市場価格を踏まえて、節電量や節電対価を決める。
これまでの実証実験では、節電対価が固定されているため、節電意欲があっても応じることができない事業者がいて目標とする需要抑制量を確保できなかったり、節電要請が過剰なため、企業や社会活動を制限してしまったりするケースが想定されていた。
同社はこのほかに、鉄道システム全体の消費電力量を最大5%減らす省エネルギー技術の開発に成功した。列車の減速時に発生する回生電力を、加速中のほかの列車に融通する技術で、これまで一部取り逃していた回生電力も無駄なく活用できるようになる。
情報通信ネットワークを使って、列車の現在位置や加速・減速の状態、電力需給などの情報を把握。複数の鉄道変電所の電圧を柔軟にコントロールする技術により、無駄になっていた回生電力を最大80%削減。回生電力が余る場合は、駅舎での利用や、蓄電池を使った電力貯蔵システムとの併用によって100%の有効活用もできるという。14年度の事業化を目指す。
鉄道は海外でも「環境に優しい交通インフラ」として見直されていることから、回生電力を無駄なく利用できる同社の技術は海外市場でも広がりそうだ。(米沢文)