サーベラスTOBに反対 西武HD「企業価値、長期的に毀損」
2013.3.27 07:00更新
西武鉄道などを傘下に持つ西武ホールディングス(HD)は26日、臨時取締役会を開き、筆頭株主の米投資会社サーベラスによる株式公開買い付け(TOB)に反対する意見を正式に表明した。両社の対立は敵対的TOBに発展した。
同日会見した後藤高志社長は「(2004年12月の)上場廃止以来、早期に良い形での株式上場を最重要課題としてきた」と強調。さらに昨年10月、サーベラス側から西武多摩湖線や国分寺線など地方の鉄道5路線の廃止やプロ野球球団の埼玉西武ライオンズの売却などの提案を受けたことを明らかにした。その上で、「サーベラスが経営に影響力を強めると、企業価値を長期的に毀損(きそん)する恐れがある」との考えを示した。
西武HDとサーベラスは昨年12月をめどとしていた西武HDの再上場で、株式の売り出し価格をめぐり意見が対立。発行済み株式の約32.4%を保有するサーベラスは、約200億円をかけて同社株4%を買い増し、保有比率を3分の1超とするTOBを3月12日から開始。経営への影響力を高め、2、3年後の上場を目指すとしていた。
サーベラスは同日、西武HDの意見表明を受け、「残念だが提案は継続する」(広報)とするコメントを発表した。
今後の焦点は、西武HDのリストラ対象の事業の将来性をめぐり、収益性と公共性のどちらを重視するのか、という点に尽きる。しかし、米国流の「企業価値の向上」と、日本流の「公共性優先」という考え方の違いは並行線をたどったままで、今後の協議は難航必至だ。太田昭宏・国土交通相は26日の会見で西武HDの経営について触れ、「安全で安定的な良質な鉄道輸送サービスの確保の観点から、動向を注視したい」と述べた。
ただ、双方の主張には不透明な点もある。サーベラスが指摘する西武HDの企業統治や内部統制の不安定さについては説得力に欠けるとの指摘がある。一方、西武HDの有識者会議も、鉄道会社の首脳や親密先の関係者の集まりで、客観性を疑問視する声がある。
4月23日を期限とするTOBの成立はほぼ確実とされており、再上場の時期やリストラ策などの落としどころを探る協議に移行するとみられる。西武HDは発行済み株式の13%を個人株主が占め、鉄道や球団のファンも多く、透明性の高い情報発信と説明責任が求められる。