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東電再建に暗雲、福島原発トラブル多発 「勝負の年」つまずき
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停電による燃料プールの冷却停止や地下貯水槽からの汚染水漏れなど福島第1原発で相次いでいるトラブルは、東京電力の経営再建にも少なからぬ影を落としそうだ。柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を軸の一つに据える経営再建策の実行には、原発事故の収拾を着実に進めて信頼を取り戻すことが欠かせない。3期ぶりの黒字転換に向け、広瀬直己社長が「勝負の年」と位置づけた今年度、スタートダッシュに失敗したダメージは大きい。
「私が先頭に立ち、対策を逐一打ちます。本当に申し訳ない」。広瀬社長は8日、茂木敏充経済産業相と会談し、一連のトラブルを謝罪した。
福島第1原発のトラブルは文字通り、頻発している。ネズミが原因で停電が起きたのをきっかけに、3月18日に使用済み核燃料プールの冷却が約29時間停止。4月5日には配電盤への小動物侵入を防止する金網の設置作業のミスで停電が発生し、燃料プールの冷却が再び停止。さらに地下貯水槽から推定で最大120トンの汚染水が漏れ出たことが同日確認され、7日には別の地下貯水槽からも汚染水が漏洩(ろうえい)したと発表した。
東電は昨年9月の電気料金値上げの際に前提にした柏崎刈羽原発の4月再稼働を実現できず、火力燃料費のうち料金で回収できない持ち出し分が毎月積み上がる。財務体質の健全化には早期の再稼働が不可欠だ。
再稼働には、7月にまとまる原子力規制委員会の新安全基準を満たすだけでなく、「事故の検証が先」(新潟県の泉田裕彦知事)と、東電への不信感を根強く持つ地元の理解を得る必要がある。
このため、東電は3月末に原子力部門改革の最終報告書をまとめるなど信頼回復の布石を打っていた矢先だった。
また、東電は原発事故の損害賠償や除染費用が想定した5兆円規模から倍増する恐れがあるとして、政府に支援を求めている。国庫負担が膨れ上がることを懸念して動く気配をみせない政府に対し、東電は原発部門を含めた経営改革を着実に進めることで、責任の分担を促したい考えだった。
相次ぐトラブルでこれらのシナリオは根本から揺らいでおり、東電幹部は「タイミングが悪すぎる」と頭を抱える。
東電は今年度、単体の経常損益を黒字化できなければ3期連続の赤字となり、金融機関からの新規融資も難しくなる。今後もトラブルが続き、信用回復が遠のけば、経営再建の道も一段と厳しさを増す。