SankeiBiz for mobile

三菱電機とNEC、人工衛星の生産能力倍増 新興国で受注合戦

ニュースカテゴリ:企業のメーカー

三菱電機とNEC、人工衛星の生産能力倍増 新興国で受注合戦

更新

三菱電機が公開した人工衛星の生産施設。太陽光パネルの開閉を確認する設備の設置作業が進行中だ=12日、神奈川県鎌倉市  三菱電機は12日、鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)で、人工衛星の新工場を報道陣に公開した。年間生産能力は従来の4基から8基に拡大した。

 新興国で拡大する通信衛星などの需要を取り込む。NECも生産能力の倍増を計画。政府も宇宙産業の活性化に力を入れており、官民挙げて人工衛星の受注合戦に乗り出す。

 三菱電機は新工場の建設に約30億円を投資。5月下旬から稼働させ、通信衛星や観測衛星、測位衛星の生産を始める。人工衛星の既存生産棟と隣接する形で、新工場を建設したことで、搭載機器の生産設備や試験用施設をこれら2つの建物に集約。生産の効率化を図った。

 競合するNECも、府中事業場(東京都府中市)で、人工衛星の試験・組立工場の建設を進めている。投資額は約96億円。2014年6月の稼働開始を目指しており、生産能力は8基と三菱電機に肩を並べる。

 2社が人工衛星の生産体制強化を急ぐ背景には、アジアを中心とした新興国での通信需要の拡大がある。三菱電機の推計では、世界の商用衛星需要は年間30基の規模で継続する見通し。約百数十億円とも言われる新規案件をめぐり、米ロッキードやボーイングなど、海外の有力メーカーとの激しい受注合戦を制するためだ。

 国内で約6割の市場シェアを握る三菱電機も、海外のシェアは約5%にとどまる。同社鎌倉製作所の岡村将光所長は「海外の大型衛星の需要を取り込みたい」と述べ、出力を現行の1.5~2倍に高めた大型の標準衛星の開発を検討していることを明らかにした。

 これらの取り組みにより同社の衛星関連の売上高は2012年度の700億円(見込み)から、20年度に1500億円に伸びる計画だ。

 こうした中、政府は1月、日本の宇宙政策の柱となる今後5年間の新宇宙基本計画を策定。官民で連携し、GPS(衛星利用測位システム)の精度を高めるための準天頂衛星のサービス展開などで、アジア諸国などに日本の科学技術を売り込む。

ランキング