ニュースカテゴリ:企業
金融
カード集約で発行枚数頭打ち エヴァや歌手とコラボ…顧客拡大に各社躍起
更新
三菱UFJニコスが発行する「VIASO(ビアソ)カード」=東京・秋葉原の同社(写真は個人情報保護のため一部を加工しています) クレジットカード各社が顧客層の拡大に躍起になっている。クレジットカードの利用金額は年々増加するものの、カードの発行枚数は頭打ちで、特定のカードに決済を集約する動きが進んでいるためだ。これまで手薄だった分野でサービスを強化して、顧客を確保する流れが加速しそうだ。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJニコスは「VIASO(ビアソ)カード」を3月に発行した。
インターネットで買い物をすると高いポイントが付与され、1年間に獲得したポイントを現金に還元して年1回自動的に払い戻す仕組みでお得感を強調。これが受け入れられ、申込件数は1日約300件と好調に推移する。
MUFGは富裕層に強みをもつが「ネット利用に慣れた20~30代を開拓」(柴崎邦彦・商品開発部長)し、グループの顧客層を広げる狙いがある。
人気アニメなどと連携したカードを展開するのが三井住友フィナンシャルグループの三井住友カード。同社は5~6月に人気アニメ「エヴァンゲリオン」や、韓国の人気歌手と協業したカードを発行。これまでにアニメやゲーム、歌手と組んだカードは約30種類にのぼる。
集客力のあるアニメや歌手などと協業し「“銀行系カード”という敷居の高い印象を払拭する」(広報)ことで、顧客層の拡大を目指す。
一方で、インターネット決済を主力とするカードが実店舗での利用を取り込む動きも出てきた。
ポータルサイト「ヤフー!ジャパン」を運営するヤフーは7月1日から、レンタルビデオ大手「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携、ヤフーのポイントをCCCの「Tポイント」に統一する。
これに伴って、ヤフーの発行する「ヤフーカード」は、自社のネット通販サイトに加え、Tポイントの加盟店約5万7000店でもポイントをためたり、使ったりすることができ、ネットと店舗双方での利用増を促す。
楽天カードは、カードの知名度アップを狙い、初めて全国放送のテレビコマーシャルを展開中だ。「グループのネット通販『楽天市場』以外から広く入会者を増やしたい」(広報)と意気込む。
カード各社の顧客争奪戦の背景について、野村総合研究所の成田剛史・上級システムコンサルタントは「ビッグデータの活用が進み、膨大な顧客情報が分析できるようになった」と指摘。その上で「店舗主導だった集客をカード会社が自ら行い、需要をとらえる流れは今後強まる」と予測する。