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東芝、テレビ事業撤退せず 社長直轄の新組織立ち上げへ

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東芝、テレビ事業撤退せず 社長直轄の新組織立ち上げへ

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インタビューに答える東芝の田中久雄社長=東京都港区  25日に就任した東芝の田中久雄社長はフジサンケイビジネスアイなどのインタビューに応じ、グループが持つさまざまな技術を組み合わせて新たなサービスや製品を生み出すため、社長直轄の新組織を立ち上げることを明らかにした。不振のテレビ事業については撤退せず、維持する姿勢を示した上で、機種の絞り込みなどで2013年度下期に営業損益の黒字化を目指す考えを表明した。

 社長直轄の新組織は各事業部を横断する形をとり、トップダウンの迅速な判断で新たなプロジェクトの事業化を図る。

 田中社長は「創造的成長」をキーワードに掲げた上で、「新しい市場、商品、事業を創り出す。いろいろな業種の課題を東芝の技術で解決したい」と強調。一例として、センサー技術や監視カメラシステムなどを駆使した農林水産業、流通業向けのサービスや製品を挙げた。

 また、重点分野としてエネルギーや半導体など電子部品に力を注ぐとともに、スマートコミュニティー(環境配慮型都市)事業の展開を急ぐ考えを明らかにした。さらにデジタル機器と連携したIT(情報通信)サービスの拡充にも意欲をみせた。

 特に半導体事業については「事業の大きな柱の一つであり、世界に先駆けて微細化をする」と述べ、NAND型フラッシュメモリーで大規模投資を継続し、世界で上位を競うシェアの拡大を図る考えを示した。

 テレビやパソコンなど「デジタルプロダクツ部門」は13年3月期まで2期連続の営業赤字に陥っているが、田中社長は「必ず復活させる」と強調。テレビ事業は固定費の削減や大画面タイプの強化などで黒字転換を図り、パソコンやタブレット端末も新製品の投入などでシェアの拡大を図る構えだ。

 一方、原子力事業については受注額の合計を17年度に1兆円とする従来の目標を堅持した上で、「安全度を最高レベルに高めつつ、原発推進に積極的な国で受注活動を進める」と述べ、海外での収益拡大に軸足を置く姿勢を示した。(是永桂一)

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