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フィリップス強さの秘密に迫る 品質と革新、自動車用バルブで世界に君臨

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フィリップス強さの秘密に迫る 品質と革新、自動車用バルブで世界に君臨

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ヘッドライトバルブの生産ライン。ガラスの中にフィラメントが設置されている=ドイツ・アーヘン  半世紀にわたって自動車用バルブのリーディングカンパニーとして君臨し、次世代照明の有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明でも世界をリードするオランダ電機大手のフィリップス。日本の電機メーカーがお家芸にしていたデジタル家電で、中韓勢に劣勢を余儀なくされているのとは対照的だ。現地を訪れ、その強さの秘密に迫った。

 事業拡大し成長

 オランダとベルギーの国境に近いドイツ西部の都市、アーヘン。世界文化遺産になっているアーヘン大聖堂のある中心部から車で20分ほどの場所に自動車用ヘッドライトの光源となるバルブの“マザー工場”はある。

 大人の背丈はあるガラスのチューブが4センチ程度のバルブの長さにカットされ、規則正しくラインを流れていく。紫外線をあてると、青く発光するのは、石英ガラスだからだ。高価だが、熱に強く、明るさを出せるメリットがある。ポイントごとに設置されたカメラが、寸法や形状などを瞬時にチェック。「Kaizen(カイゼン)」と書かれた場内のボードには、従業員が作業中に気付いた点などが記されている。

 ファクトリーマネージャー(工場長)のカール・スペクル氏は「フィリップスのライティング(照明)部門で最も大きな工場だ」と胸を張る。

 ここで作られるヘッドライトバルブはハロゲンバルブと、より光度の高いキセノンバルブ。生産量は年間約1億6000万個に上る。ハロゲンバルブのラインの増設など、新たな投資も行われている。

 1891年創業のフィリップスは電球の製造からスタートした。電気シェーバーのほか、ソニーと共同でコンパクトディスク(CD)を開発するなど、事業分野を拡大しながら成長を続けてきた。

 経営資源を集中

 2008年、新興国メーカーが低価格を武器にデジタル家電などで攻勢をかける中、さらなる競争力の強化に向け、ライティング▽ヘルスケア(医療機器)▽コンシューマーライフスタイル(生活家電)-の3事業に経営資源を集中。テレビ事業の売却などにも踏み切った。

 この結果、12年の売上高は前年比9.7%増の248億ユーロ(約3兆1500億円)と増収を確保した。

 ライティング事業の柱の一つがヘッドライトバルブだ。他社に先駆けてハロゲンバルブやキセノンバルブの量産化に成功。水銀を使わないキセノンバルブを開発するなど、市場を牽引(けんいん)してきた。現在、世界シェアはトップを誇っている。

 マーケティング統括バイスプレジデントのディミトリ・ジャレード氏は「(ヘッドライトバルブの)売上高はライティング事業の1割に満たないが、利益面の貢献が大きい。低価格の商売をするのではなく、イノベーション(技術革新)によって価値を顧客に提供し、利益を出している」と強さの一端を語る。

 さらに、他社と差別化しているのが品質へのこだわりだ。唯一の日本人の品質統括責任者として、アーヘン工場で勤務する山内雅史氏は「品質とは最終的に顧客が満足するかどうか。バルブの輝度(明るさ)と精度を出そうと、細かく見ながら作り込んでいる」と強調する。

 ハロゲンバルブならフィラメントの長さの誤差はプラスマイナス0.2ミリ以下-など、工程ごとに厳しい基準が定められており、それに満たないものは商品として市場に出さない。工場は自動化が進んでいるが、ガラス加工ではバーナーの火力調整など“職人技”の部分も多いという。

 日本企業も学ぶべき点多い商品力強化

 自動車部品であるバルブは安全性が重視され、各国の規制への対応も必要になる。フィリップスが持つバルブ開発の長い歴史とノウハウがブランドへの信頼にもつながっている。規制当局に技術面のアドバイスをするケースもある。

 これまで日本では、小糸製作所などの照明部品メーカーにバルブを納入、自動車メーカーの純正パーツとしても採用されてきた。

 ジャレード氏は「成長市場のアジアに焦点を置いている。世界最大の市場である中国に加え、技術的に先行する日本市場でも勝っていきたい」と意気込む。

 薄型テレビなどが苦戦する日系メーカーも、ようやく構造転換に乗り出し、パナソニックが自動車向け機器の強化に動き、ソニーは医療事業に力を入れる。

 強みのある分野に経営資源をいち早く投入し、商品力の強化で生き残りを目指すフィリップス。構造改革の“先人”に日本勢は学ぶものが多いかもしれない。(田村龍彦)

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